MMD研究所では、モバイル・スマートフォンにおけるテレビ番組アプリの認知度や利用率、またワンセグ機能付きの需用、テレビ視聴に関する情報について調査を実施しました。この調査結果から、テレビの視聴動向を考察していきます。

10代の心をつかむならTwitter!? テレビ番組を探す

2011年に一部の地域を除いて、地上デジタル放送が開始され、テレビからでも番組表が見られるようになるなど、新聞や雑誌以外でテレビ番組を調べる機会が増えてきました。

今回、テレビ番組を視聴する際の情報収集について調査を行ったところ、「テレビ、録画機の電子番組ガイドから」が55.6%とトップ、続いて「新聞朝刊のテレビ番組欄」が42.2%となっており、この2つでの情報収集が他を圧倒する結果となりました。

この回答結果の中で、全体の数値からは大きくありませんが、「Twitterで友人、知人が発した情報から」という回答が10.2%と、他のSNSに比べて高い点に着目してみます。

2011年6月末にIMJモバイルが発表した「女性のデジタル領域における行動・意識に関する調査」では、10代女性のTwitter利用率においてmixiを上回るなど、特に10代の利用が目立つように感じます。メールや掲示板サイトでの書き込みなどといったコミュニケーションの新しい形としてTwitterが使われているのではないかと考えています。

この情報を裏付けるように、「Twitterで友人、知人が発した情報から」の回答を年代別にみると、全体では10.2%という数字に対して、10代では20.2%と2倍近い数値になっています。

若い年代がテレビを見なくなったと言われていますが、まだまだテレビは、学生にとっては重要な情報源です。コンテンツの楽しさもさることながら、「みんなが見ているから、話題に乗り遅れたくない」という理由で友人のツイートをきっかけとしてテレビを視聴する姿は、イメージがつくかと思います。

ソーシャルメディアを活用している番組はまだまだ少ないですが、放送中にTwitterでどんどん情報を流すことで、10代視聴者の目を引けるかもしれません。

また、1年ほど前は20~30代の間でTwitterが流行しており、現在は10代の中でTwitterが流行しています。この流れを考えると次はFacebook上でテレビ番組の情報をやりとりが増えてくると筆者は考えています。

ソーシャルメディア×テレビは難しい

テレビを楽しむためにあったら使いたいと思うソーシャルネットワークサービス機能について調査を行ったところ、「自分がこれから見たいテレビ番組を友人や知人に共有できる機能」が21.4%と高い数字を出す一方で、「ソーシャルネットワークサービス機能でテレビは楽しめないと思う」の回答がそれを上回る32.8%とトップになり、テレビとソーシャルネットワークサービス機能の連携について、まだまだ生活者がイメージを持つに至っていない現状であることが分かりました。 ただし、無意識のうちにソーシャル機能を通じて、テレビを楽しんでいる人は多いのではないかと筆者は思います。

Twitterのつぶやきで「天空の城ラピュタ」のセリフが1秒間あたりのツイート数で世界一になったり、巨大掲示板では「実況」というカテゴリでテレビを見ながら出演者やコンテンツに言及したり、テレビ番組の感想をブログにアップするなど、ソーシャルメディアを通じて情報発信やコミュニティの共有をしているのではないでしょうか。

企業側から「この機能を利用しましょう」と持ちかけるよりも、生活者からソーシャルメディアの繋がりやリアルタイム性を上手く利用していくといった形で浸透させ、それを補助する機能がコンテンツ提供側から生まれれば、テレビ番組や視聴のあり方が変わっていくと期待しています。

意外と需要が多い? iPhoneにない「ある機能」

今回、現在使用している携帯電話・スマートフォンを機種変更する際に、ワンセグ機能付きの携帯電話・スマートフォンの購入意向についての調査も行ったところ、面白い結果が得られました。

「ワンセグ機能が対応した携帯電話・スマートフォンを買う」と回答したユーザーが26.6%、「決め手ではないが、ワンセグ機能付き携帯電話・スマートフォンを買う」と回答したユーザーが37.8%と、合わせて64.4%のユーザーがワンセグ付きの携帯電話・スマートフォンを購入すると回答しています。

これには手軽にテレビ番組を見られるという理由以外に、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに非常時の情報収集のための手段という理由が高まったと考えられます。

スマートフォンについては「フィーチャーフォンであった機能は不要」などと言われている状況もありますが、これからの端末普及において、意外と外せない標準機能のひとつかもしれません。

欲しいスマートフォン端末でトップに上がるiPhoneですが、標準でワンセグ機能がないために購入に踏み切れないユーザーもいるのではないでしょうか。

当研究所では、引き続きモバイルユーザーのライフスタイルの動向について、定期的に調査を行っていきます。

調査テーマに関するご要望については、Facebookの当研究所ファンページで受け付けていますので、お気軽に声をかけてください。また、調査結果やコラムについて、「参考になった!」「面白かった!」と感じましたら、お気軽に「いいね!」やリツイートをしてもらえると幸いです。

今回引用した調査データは当研究所のWebサイトで一部公開しています。

<本稿執筆担当 : 早野 竜馬>

著者紹介

MMD研究所

MMD研究所(モバイル・マーケティング・データ研究所)は、モバイルユーザーマーケットのリアルな動向を調査・分析し、社会へ提供することを目的として2006年9月に設立されたマーケティングリサーチ機関(運営は株式会社アップデイト)。本コラムでは、同研究所による調査データをもとに、ヒットにつながる効果的なマーケティング手法について考察していきます。