昨年より各キャリアから様々なスマートフォンが発売されましたが、どれだけのスマートフォンユーザーがスマートフォンを使いこなせているのでしょうか?
今回は、当研究所が2012年3月8日~2012年3月12日に実施した「携帯コンテンツに関する利用動向調査-第15回-(スマートフォン所有者対象)」の結果から、iOSとAndroidユーザーの違い、フィーチャーフォンとスマートフォンの違いを考察したいと思います。
同調査はモバイル・インターネットWeb上で行われ、363人の有効回答をもとにした分析となっています。
フィーチャーフォンの約半数、スマートフォンユーザの約1割が「購入した着うた」を設定
スマートフォンユーザーを対象に、「以前はよく利用したが、現在は利用しなくなったサービス」について聞いたところ、「着うた・着うたフル」と回答したユーザーが最も多く、Androidユーザーの38.2%、iPhoneユーザーの29.5%が利用しなくなったと回答していることがわかりました。
また、設定している着信音について質問したところ、携帯本体に入っている効果音を設定していると回答したスマートフォンユーザーは約3割でした。購入した着うたを設定していると回答したユーザーはAndroidユーザーでは12.7%、iPhoneユーザーでは4.5%と1割満たない結果となりました。一方の、フィーチャーフォンでは47.4%のユーザーが購入した着うたを設定していると回答しています。
このような状況の中、3月16日にmusic.jpが過去に購入した「着うたフル」を、スマートフォンに機種変更した際に、無料で再ダウンロードできる「おあずかりサービス」を開始しました。現在フィーチャーフォンで着うたを利用しているユーザーがスマートフォンに乗り換えたときに、このサービスは画期的なサービスに見えます。
しかし、スマートフォンに変更した際に、コンテンツの利用シーンも変化している結果、どれだけのユーザーがこの「おあずかりサービス」を利用するのか気になるところです。
iPhoneユーザーの8割、Androidユーザーの4割がミュージックプレイヤーを利用
次にミュージックプレイヤーの利用について見てみましょう。スマートフォンのミュージックプレイヤーの利用について質問したところ、Androidユーザーの46.6%、iPhoneユーザーの82.2%がミュージックプレイヤーを利用していることがわかりました。中でもiPhoneユーザーの54.5%がよく利用していると回答しています。
なぜここまでAndroidユーザーとiPhoneユーザーの利用に違いがあるのでしょうか。
iPhoneの特徴は、ストレージ容量が大きく、iPodを引き継いでいるため音楽配信サービスが充実しています。一方、Androidの特徴は、フィーチャーフォンで利用していたコンテンツや機能が引き継がれているため、機能面が充実しています。上記のことから利用の違いがでてきているのではないでしょうか。
Androidの弱点は、フィーチャーフォンのコンテンツが引き継がれているにも関わらず、バッテリーの持ちが悪く、ストレージ容量が少ないので容量を大きくしたいのであればSDカードを自身で購入しなければならないという点が挙げられます。
筆者はAndroidをメインの携帯電話として利用しています。iPodも所有しているので、Androidで音楽は聴いていませんが、バッテリーの持ちが改善されるのであれば、iPodの音楽をAndroidに移行させて1台のみにまとめたいと思っています。Androidの課題は、まずフィーチャーフォンの機能をすべて引き継ぐことよりも、バッテリーを改善し、様々なコンテンツを楽しめるようにすることが最優先ではないかと筆者は考えます。
スマートフォンを「完璧に使いこなせている」人は、わずか1割
スマートフォン所有者にどのくらいスマートフォンを使いこなせているかを聞いたところ、「使いこなせている」と回答したユーザーは59.2%であったものの、一方「完璧に使いこなせている」と回答しているユーザーはわずか8.3%という結果となっています。
KDDIはスマートフォン市場へ参入が一歩遅れましたが、PCにもフィーチャーフォンにも無かった「スマートパス」というサービスを提供したことで、スマートフォン初心者や使いこなせていないスマートフォン所有者をターゲットに、安心できるサービスをフックにスマートフォンシェアの拡大を狙っていることがうかがえます。
昨年よりスマートフォン所有者が急増してきた中で、iPod機能を引き継いでいて音楽面が充実しているiPhone、フィーチャーフォンの機能が引き継がれていて機能が充実しているAndroidを選ぶかはユーザーのニーズや使い方によって違いますが、スマートパスのような安心できるサービスを利用することで、スマートフォンをより楽しむ事ができ、また使いこなせるユーザーが今以上に多くなってくるのではないでしょうか。
MMD研究所では今後フィーチャーフォンからスマートフォンへ乗り換えたユーザー、またiPhoneからAndroidに乗り換えた人、AndroidからiPhoneに乗り換えた人の動向、またその理由を調査していきます。
調査テーマに関するご要望については、Facebookの当研究所ファンページで受け付けていますので、お気軽に声をかけてください。また、調査結果やコラムについて、「参考になった!」「面白かった!」と感じましたら、お気軽に「いいね!」やリツイートをしてもらえると幸いです。
今回引用した調査データは当研究所のWebサイト(携帯コンテンツに関する利用動向調査-第15回-(スマートフォン所有者対象) / スマートフォンインサイト調査~スマートフォン白書2012~)で一部公開しています。
<本稿執筆担当 : 妹尾 亜紀子>
著者紹介
MMD研究所
MMD研究所(モバイル・マーケティング・データ研究所)は、モバイルユーザーマーケットのリアルな動向を調査・分析し、社会へ提供することを目的として2006年9月に設立されたマーケティングリサーチ機関(運営は株式会社アップデイト)。本コラムでは、同研究所による調査データをもとに、ヒットにつながる効果的なマーケティング手法について考察していきます。