実店舗のネット進出はFacebookから? Facebookチェックインクーポンの可能性
ユニクロ、Disney Store、日高屋、富士急ハイランド、ドミノ・ピザ、ファミリーマート。業種はさまざまですが共通している点があります。それは、Facebookチェックインクーポンを発券して集客している企業、ということです(現在はクーポン発券を終了した企業もあります)。
今までのSNSとは違い積極的に企業が展開できるFacebookについて、今回は、当研究所が2011年11月11日~2011年11月20日に実施した「Facebookのインサイト調査」から、その結果とFacebookの活用方法について考察します。
なお、この調査はモバイル・インターネットWeb上で行われ、801人の有効回答もとにした分析となっています。
Facebookの登録率が50%は多い? 少ない?
今回の調査でFacebookの登録率を調査したところ、「登録し定期的に利用している」と「登録しているがほとんど利用していない」が合わせて50.1%と、半数のユーザーがFacebookに登録している結果となりました。
実名登録制というハードルや、スマートフォンをメインに展開しているFacebookに対して今回のデータの半数がフィーチャーフォンユーザーからの回答だということを鑑みると、Facebookの登録率や利用率は高いのではないかと考えています。
今後、スマートフォンの利用が増えてくることや、最初に書いたようなFacebookを利用した集客活動が一般化することで、さらに登録率や利用率は高くなってくるでしょう。
使われないFacebookチェックインクーポン。利用率は1割未満
2011年6月7日に開始されたFacebookチェックインクーポン。Facebookのスポット機能でチェックインすると、参加している企業や店舗からクーポンが入手でき、その場で使えるサービスとなっています。ユーザーが入店しているタイミングを考えると、非常に使い勝手のよいサービスです。
今回、このサービスの利用率を調査したところ、全体の8%と非常に低い結果となりました。
では、チェックインの利用率も低いのでしょうか?
チェックイン機能の利用率は、近況アップデート、メッセージ、アルバムに次いでよく使われる機能としてランクインしています。男女比率では、男性36.0%で女性29.3%と、男性のチェックイン利用が多い結果となっています。
機能としてチェックインは使われているのに、チェックインクーポンは使用されていないのはなぜでしょうか。
チェックインクーポンが使われていない理由としては、サービスが2011年6月にリリースされてまだ半年ということもあり、サービスそのものを知らないユーザーが多いのではないかという点がひとつ。
そして、チェックインクーポンサービスを導入していない店舗が多いことが、もうひとつの理由ではないかと筆者は考えています。
これは筆者の体験談ですが、都内の比較的多くの路線が集まるターミナル駅付近で、チェックインクーポンがないか調べてみたことがあります。飲食店や小売店が多くあるにも関わらず、表示されたスポット情報約25件に対して、チェックインクーポンを発行しているのは1件だけでした。このときには、スポット登録件数も少ないと感じたことを覚えています。
また、ホットペッパーやぐるなびのような有料のサービスとは異なり、アカウントさえあればクーポンを発行できるFacebookチェックインクーポンが集客の有効なツールであることを、店舗(特に飲食業界)がまだ認識できていないのではないのでしょうか。
現状では利用率の低いチェックインクーポンサービスですが、リクルートが展開しているサービス(ホットペッパーやじゃらんなど)で有料契約をしている店舗が、チェックインクーポン発行を実施するなど拡大を続けていることと、それにともなって利用ユーザーが増えることで認知も拡大され、今後は利用率も向上してくと筆者は考えています。
ネット告知でも5人に1人が参加! 高い参加率を生み出す秘密は?
「Facebook上で告知される飲み会やセミナー等のイベントに参加したことはありますか?」という質問に対しては、全体の23.2%のユーザーが「参加したことがある」と回答しています。約5人に1人がFacebook上での告知を見て、実際に足を運んでいるということになります。
男女別で見ると、男性が26.1%、女性が17.9%と、男性の参加率が高い傾向にあります。これは、ビジネスセミナーなどのイベントの参加経験があるからではないかと考えられます。
参加理由については、おそらく「友人・同僚が参加をしているから」や「取引先の方が参加しているから」など、自分とつながりがある人や身近な人がアクションを起こしているのを見て、参加しているのではないかと推測できます。
同じようなソーシャルグラフを利用するmixiや情報発信力の強いTwitterと比較して、Facebookには実名登録という強みがあるために、このような違いがあるのではないかと思います。
チェックインが顧客を呼ぶ! タグ付けが顧客を呼ぶ!
今回のタイトル「Facebookが経済を救う!? Facebookチェックインクーポンの可能性」においてのポイントは、下記2点です。
- スポット機能、チェックインクーポンサービスが今後も拡大を続けること
- Facebook上で発信される情報は信頼されやすく、実際に足を運ぶ飲み会などの参加率が高いこと
チェックインクーポンの提携店舗やスポット登録数が増えることで、チェックインを使うユーザーも増え、ユーザーのウォールにはチェックインの投稿が増えてくることになります。その結果、チェックインしたユーザーの近くにいる友人が会いに来たり、店舗を知ることで来店のきっかけを作ったりなど、見込み顧客の創出になる可能性があります。
これは、チェックイン時に自分のユーザーもチェックイン登録する「タグ付け」も同様です。ウォールの投稿を見た友人「○○が一緒にいるなら、合流してみようかな?」というきっかけ作りにもなります。
ややこじつけではありますが、「見込顧客の創出 = 経済の発展」になると筆者は考えています。上記の考えは、飲食店主体の例ですが、雑貨やアパレルなどの小売店にも活用できる方法だと思います。
また、タイトルにあるように、店舗のネット進出の第一歩をFacebookから初めてみるのもテストマーケティングの1つの手段として有効ではないでしょうか。
まだまだサービスを拡大するFacebookから目が離せません。当研究所では、引き続き、Facebookの動向については定期的に調査を行っていきます。
調査テーマに関するご要望については、Facebookの当研究所ファンページで受け付けていますので、お気軽に声をかけてください。また、調査結果やコラムについて、「参考になった」「面白かった」と感じましたら、お気軽に「いいね!」を押してもらえると幸いです。
今回引用した調査データは当研究所のWebサイト(Facebookユーザーの半数が2011年になってから利用するようになったと回答 / Facebookメッセンジャーアプリのダウンロード率は約3割、うち利用者は約5割)で一部公開しています。
<本稿執筆担当 : 早野 竜馬>
著者紹介
MMD研究所
MMD研究所(モバイル・マーケティング・データ研究所)は、モバイルユーザーマーケットのリアルな動向を調査・分析し、社会へ提供することを目的として2006年9月に設立されたマーケティングリサーチ機関(運営は株式会社アップデイト)。本コラムでは、同研究所による調査データをもとに、ヒットにつながる効果的なマーケティング手法について考察していきます。