今回は、当研究所が2011年9月1日~9月7日に実施した「3大ソーシャルメディアのユーザーインサイト調査 -第2回-」の結果から、ソーシャルメディアの利用に対しての認識と使い分けについての課題をレポートしたいと思います。同調査はモバイル・インターネットWEB上で行われ、620人の有効回答もとにした分析となっています。
3大ソーシャルメディアで一番利用しているサービスは「Facebook」33.5%、「Twitter」33.1%
昨今SNSの利用者が急増していますが、なぜあなたはSNSを利用しているのでしょうか? 周りに勧められたから? あなたの周りで流行っているからでしょうか?
そこで今回は、ソーシャルメディアの利用と目的について調査した結果について少し掘り下げてみたいと思います。
一番利用しているソーシャルメディア |
まず、3大SNSの中で最も利用しているサービスについて見てみると、「Facebook」の33.5%が最も多く、次いで「Twitter」33.1%、「mixi」16.5%であることがわかりました。
また、利用用途について質問したところ、プライベート用に利用していると回答したのは「Twitterユーザー(74.7%)」、「Facebookユーザー(82.2%)」という結果となっています。またビジネス用に利用していると回答したのは「Twitterユーザー(25.7%)」、「Facebookユーザー(51.1%)」という結果が得られました。
Twitter、Facebook共にネットリテラシーの高い20代~40代のビジネスパーソンが積極的に活用し、利用者拡大に繋がった背景がありますが、利用シーンの違いで大きな差が生まれる結果となりました。
Twitter・Facebookの用途(利用目的) |
Twitterは一方向で情報の収集が可能であり、主にビジネス情報の収集に利用されていると考えられます。Facebookは相手の同意が必要で相互関係となることから、情報収集だけでなく、情報・連絡・関係性の共有作用が働き、よりビジネスでの利用が増えていると考えられます。
筆者はこれを従来のSNS(mixiなど)とブログ(アメブロなど)の利用の違いに近いのではないかと推測します。
実名登録が基本のFacebookでは、所属している企業名や学校名を登録しているユーザーも少なくありません。実際、私自身も初めてお会いする方との打ち合わせの際は、SNSを利用しているか、当研究所の会員またはフォロワーであるかなどを事前に確認していることも多々あります。
さてSNS先進国のアメリカでは、採用担当者の採用手段として活用されています。求職者の人柄、発言などについてソーシャルメディアを利用し採用の判断基準とされています。
また、ソーシャルメディア上での特定の人物の情報をレポートにし、48時間以内に企業に提供するというビジネスがあり、履歴書からはわからない性格、趣味趣向などの情報が得ることができます。SNSで発言することでコメントやつぶやきが記録として残る以上、どこかで誰かに見られているという認識を持つことが大切だと思います。
知ってもらいたい人に情報は届いていますか?
Facebookユーザーを対象に使い始めたきっかけについて質問したところ、「インターネットの情報を見て興味を持ったから」が41.3%、「仕事上必要だったから」が27.8%、「知人に勧められて(招待されて)」が26.6%という結果が得られました。
Facebookを使い始めたきっかけ |
プレスリリースを利用している企業はたくさんあります。また最近ではソーシャルメディアを使った商品のプロモーションもよく見かけます。
ですが、人が処理できる情報量には限界があり、よくわからない情報は処理できないから無視されてしまいがちです。あなたは商品(サービス)をリリースしたことで満足していませんか?
商品情報よりも商品によって得られる価値が大切だと感じています。説得力のある情報は、より情報を拡散させ、商品認知を促進させることで、知ってもらいたい人に情報を発信し、理解してもらうことが重要とされます。そこで、ひとつの情報を多くの人に共有できるSNSは便利で活用されているというのが、ひとつの理由だと推測されます。
約8割が「ソーシャルメディアの利用に関するルールがない」と回答
昨今ソーシャルメディアがニュースとして取り上げられています。社員がSNS上に書き込んだ内容について企業が謝罪したというニュースは記憶に新しいかと思います。
そこで、ソーシャルメディアを利用するにあたり職場または学校で利用に関するルールが設けられているかを質問したところ、「ルールがある」と回答した人は22.1%でした。
ソーシャルメディアの利用に関するルールについて(職場または学校) |
SNSを利用していることが当たり前となった今、発言に関する認識が甘いが故にこのようなことが起こってしまったのではないかと推察しています。ソーシャルメディアの活用についてガイドラインを設けている企業も少なくありません。
ソーシャルメディアを利用するにあたり、すべてにルールを設ける必要はないが、各自モラルを持って接すること、どのような使い方をすべきかが今後の課題になってくるのではないかと筆者は考えます。
調査テーマに関するご要望については、Facebookの当研究所ファンページで受け付けていますので、お気軽に声をかけてください。
今回引用した調査データは当研究所のWebサイトで一部公開しています。
<本稿執筆担当 : 妹尾 亜紀子>
著者紹介
MMD研究所
MMD研究所(モバイル・マーケティング・データ研究所)は、モバイルユーザーマーケットのリアルな動向を調査・分析し、社会へ提供することを目的として2006年9月に設立されたマーケティングリサーチ機関(運営は株式会社アップデイト)。本コラムでは、同研究所による調査データをもとに、ヒットにつながる効果的なマーケティング手法について考察していきます。