スマートフォンユーザーと、FacebookやTwitterとの親和性についてはよく語られるところですが、依然国内のモバイル端末シェアで80%以上を占める通常の携帯電話ユーザー(ケータイユーザー)の状況はどうなっているのでしょうか? 当研究所では現在スマートフォンを所有していない携帯(フィーチャーフォン)ユーザー 1,102人を対象に、最近1ヵ月間で利用、あるいはアクセスした携帯サイト(コンテンツ)について調査してみました。

国内SNSサイトの利用率が急伸

上位の結果は以下の通りです。

1位には「GREE、モバゲー、mixiなどのSNSサイト(69.8%)」がランクインしていますが、昨年8月に行った同様の調査結果では、これらSNSサイトの利用率は36.6%。ランキングでは8位でした。たった半年で2倍近く利用率が伸びている計算になります。

これはおそらく、昨年来のソーシャルアプリブーム、そして地上波でのテレビプロモーションのもたらした効果だと思われますが、これは当研究所の過去の調査を振り返っても類を見ない浸透スピードです。

ケータイユーザーがこの1ヵ月の間で利用・アクセスした携帯コンテンツ (MMD研究所調べ)

ちなみに、内訳としては「GREE」の60.3%が最も多く、次いで「モバゲータウン(48.1%)」「mixi(39.7%)」となっています。

ケータイユーザーのSNSサイト利用率内訳 (MMD研究所調べ)

Twitterユーザーはスマートフォンに移行?

では、FacebookやTwitterについてはどうでしょうか?

残念ながら昨年8月の調査では、Facebookを選択肢に加えていなかったため、比較対象とすべきデータがないのですが、この2月に当研究所が行った調査では、「携帯電話からFacebookにアクセスした」と回答したケータイユーザーは、わずか2.9%でした。

Facebookの日本向け携帯版が公開されて1年近くが経とうとしていますが、ケータイユーザーへの浸透ということに関しては、まだまだこれからと言わざるをえない状況のようです。

一方、Twitterについては面白い結果が得られました。

以下のグラフは、SNSとTwitterについて、それぞれ2010年8月の調査と2011年2月の調査を比較したものですが、前述の通り一気にケータイユーザーの間で利用率を伸ばしたSNSとは対照的に、Twitterについては逆に微減という結果になっています。

Twitterのケータイユーザーは微減。スマホに移行した? (MMD研究所調べ)

しかし、だからと言って「Twitter人気に陰りが見えた」という話題があるわけでもなく、「ユーザー減」「ツイート数減」といったニュースを見かけるわけでもません。

ここからは調査結果ではなくあくまで筆者の推測ですが、このデータはについては、「Twitterを日常的に使っているユーザーが、この半年の間に携帯電話からスマートフォンに移行した」と見るのが正しいのではないかと考えています。

今回の調査結果から結論を導くことはできませんが、これらソーシャルメディアの動向と利用ユーザーのインサイトについては、「ビジネスユースかプライベートユースか」「利用デバイスに何らかの傾向はないか」といった観点から、3月に当研究所で調査を実施する予定です。

ちなみに今回の調査では、国内SNSに次いで「ニュース・天気予報(53.1%)」「着うた・着うたフル(44.7%)」などのサービスが、ケータイユーザーの間で依然として人気があることがわかっています。ただ、従来の「デコメ」や「待受け」「電子書籍」といったエンターテインメント系コンテンツに代わり、「飲食店などのグルメ情報」などの情報系コンテンツが浮上してきている傾向が見られました。

当研究所では2006年からこのテーマについて定点観測していますが、今回の調査結果は、今年の大きなモバイルコンテンツ界の地殻変動を予感させる結果と言えるかもしれません。

調査テーマに関するご要望については、Facebookの当研究所ファンページで受け付けていますので、お気軽に声をかけてください。

なお、今回引用した調査データは当研究のWebサイトで公開しています。

携帯コンテンツに関する利用動向調査・第13回 - MMD研究所

<本稿執筆担当: 田川悟郎>

著者紹介

MMD研究所

MMD研究所(モバイル・マーケティング・データ研究所)は、モバイルユーザーマーケットのリアルな動向を調査・分析し、社会へ提供することを目的として2006年9月に設立されたマーケティングリサーチ機関(運営は株式会社アップデイト)。本コラムでは、同研究所による調査データをもとに、ヒットにつながる効果的なマーケティング手法について考察していきます。