24回と長期間にわたり、「システムの統合化」という観点からさまざまな事例を見てきたが、これまでは航空機や艦艇などといったプラットフォーム、あるいはそこに搭載するウェポン・システムの話が主体だった。

しかし、プラットフォームにしろウェポン・システムにしろ、それを製造したり、維持管理したりする仕事が必要になることを忘れてはならない。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照

  • 米空母「ジェラルド R.フォード」(CVN-78)の艦上で、F/A-18用のエンジンを整備中。人手や工具だけでなく、交換用の部品も適切に確保しておかなければ、整備はできない 写真 : US Navy

サプライチェーン管理から整備補給まで

一つの製品を構成する部品やコンポーネントを、すべて同じメーカーが内製しているわけではない。「餅は餅屋」で、専門メーカーに委ねる形が一般的である。すると、サプライチェーン管理という課題ができる。

また、低コストかつ効率的な生産を行うためには、「どこで何をどれだけ作らせるか」だけでなく、「作ったものを、どのタイミングで運び込んで生産ラインに投入するか」も問題になる。遅れるのは問題だが、早すぎても保管場所というコストが発生する。

一方、できた製品を維持管理する場面では、寿命が来たり、故障したり、壊れたりしたパーツやコンポーネントを交換する必要がある。すると、交換用の予備を常に確保しておかなければならない。それは何もないところから湧いてくるわけではない。在庫状況を見て、適宜、発注をかけて調達しておかなければならない。

しかも、在庫している現場と、それを必要としている現場は違うのが普通だから、そこでモノの移動が発生する。モノが移動すれば在庫に関するデータが変動するから、それも正しく記録・管理しておかないと、「あると思っていたモノがない」ということが起きる。

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