前回は、「水上戦闘艦の分野で多用途区画を設置する事例が出てきている。そこに戦闘システムと関わるモジュールを追加すると、艦側のシステムと連接して統合化したシステムを構成する必要が生じる」という話を書いた。
今回は、それを具現化するために何が必要か、ということを考えてみる。特定の艦やクラスを念頭に置いた話ではなく、一般論として、「こんな仕掛けが必要ではないかなー」という話である。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
モジュールの参加・退出を認識する
まず、艦内ネットワークに新たなモジュールを参加させたり、あるいは取り下ろしのためにモジュールを退出させたりしたときに、そのことを直ちに知る仕掛け。
一つの考え方として、モジュールをネットワークに接続したときにブロードキャストする方法が考えられる。ネットワークにつながっている他のノードがちゃんと聞き耳を立てていれば、この方法により、新たなモジュールが参加したことを把握できよう。
ところが、ブロードキャストだけでは退出の告知ができない。「参加のブロードキャスト」と「退出のブロードキャスト」を別個に用意する手も考えられるが、後者をどのタイミングでどうやって出すんだ、という問題はあり得る。それに、取り外しに限ったことではなく、戦闘被害による機能喪失を把握する必要もある。
すると、誰かがネットワーク上の各ノードに対して定期的にロール・コール(呼び出し)をかけて、存在していること、機能していることを確認する手はあり得よう。もっとも、これはこれで、個々のノードの機能不全とネットワーク自体の機能不全をどうやって区別するんだ、という話になりそうだが。