普通、水上戦闘艦が備える戦闘システムといえば、その内容は固定的である。ここでいう戦闘システムとは、眼や耳の役割を務めるセンサー、頭脳の役割を務める指揮管制システム、実際に破壊を受け持つ武器(エフェクター)、これらすべてを指す。そして、それぞれどういう機器を搭載するかは最初から決まっている。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
頓挫はしたがLCSはモジュール式
しかし、何事にも例外は発生するもので、モジュール方式をとる水上戦闘艦もある。つまり、戦闘システムの構成要素を独立したモジュールにして、必要に応じて脱着・交換する方式。
そうした水上戦闘艦の一つに、米海軍の沿海域戦闘艦(LCS : Littoral Combat Ship)がある。当初の構想では、以下に示す3種類のミッション・モジュールを用意して、必要に応じて艦に積み込むはずだった。
- 対水上戦 (ASuW : Anti Surface Warfare)ミッション・モジュール : 機関砲や艦対艦ミサイルで構成
- 対潜戦 (ASW : Anti Submarine Warfare)ミッション・モジュール : 潜水艦の捜索に使用するソナー、捜索と交戦を受け持つヘリコプターで構成
- 対機雷戦(MCM : Mine Countermeasures)ミッション・モジュール : 機雷の捜索や掃討を担当する無人ヴィークル群と、それらを管制するシステムで構成