過去に本連載において、敵味方識別装置(IFF : Identification Friend or Foe)について取り上げたことはあったが、なんと第30回でのことだった。そこで改めて、艦載電測兵装の一環としてのIFFも取り上げておきたい。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
IFFはレーダーとワンセットで動作する
IFFはレーダーとワンセットになって動作する。なぜかといえば、レーダーが何かを探知しても、それは「レーダー電波を反射する物体」でしかない。相手が何者なのかを知るには、追加の情報が要る。そこで「お前、誰や?」と誰何するのがIFFの仕事。
具体的には、レーダーに併設したインテロゲーターが電波を使って誰何する。そして、誰何された被探知目標の側では、備えつけているトランスポンダーで応答する。トランスポンダーに設定する応答コードは可変式で、インテロゲーターの側では、返ってきた応答によって対象を識別する。応答しなければ不審物である。
民間機の場合、フライトプランを航空管制当局に提出した時点で、それとひもづける形で識別コードの割り当てを受ける。だから、応答コードの内容により、探知目標は「○○航空の△△便である」とわかる。軍用機なら、任務計画を立案して航空機や艦艇を出動させる時点でIFFトランスポンダーにセットする識別コードを決めておけばよい。