実は、艦載電測兵装には独特の厄介な課題がある。それが「煙突」。電子機器はそもそもデリケートなものだが、それと組み合わせるアンテナも、煙突から出てくる高温の排気が直撃したら、あまり良い影響はない。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
煙幕は張らなくなったけど……
昔、目視に頼って海戦を行っていたときには、自艦が敵艦から発見されにくくなるようにといって、煙幕を展張することがあった。普段なら、敵に見つかってはいけないから、機関の排気はできるだけ煙を出さない方がいいのだが、いったん見つかって戦闘になってしまえば話は別。機関の運転操作にチョイチョイと細工をして、わざと煙を出す。
レーダーをはじめとするセンサーが普及した昨今では、さすがに「海戦の際に煙幕を張る」なんていう話は過去のものになった。ところが、煙が出ていなくても高温の排気は出ており、機関を運転している限り、これは止められない。
そして艦は基本的に前方に向かって航行しているから、煙突の後ろ上方に設置したものは、煙突から出てくる高温の排気を浴びるものと考えてかからなければならない。