海上自衛隊の最新型護衛艦「もがみ」型は、いろいろな意味で従来の護衛艦の「常識」を壊している。その一つが、NORA-50複合通信空中線。後で、これに「UNICORN(UNIfied COmplex Radio aNtenna)」という名前がついた。どうも海外向けの売り出しを企図してのことらしい。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
ステルス化と統合マスト
UNICORNという呼び名には、外観が「一角獣の角」に似ていなくもないことと、「複合通信空中線」をストレートに英訳したものと、二重の意味があると思われる。
艦艇のステルス化はもはや、いちいち言い立てるものでもなく「やって当たり前」の話。そこで電測兵装にフォーカスした場合、実現手法は二種類に大別できる。
マストや上部構造と統合してステルス化
一つはマストや上部構造との統合化。以前に取り上げた米海軍のズムウォルト級が典型例で、構造物の表面に平面アンテナを埋め込んで、真っ平らにしてしまう。
もっともズムウォルト級の場合、最初は真っ平らだったものが、後から衛星通信アンテナ(UHF用のAN/USC-42だろうか)と航海用レーダーを増設したせいで、凸凹が増えている。