前回は、イージス艦のパッシブ・フェーズド・アレイ・レーダー、AN/SPY-1シリーズを搭載する艦の話だけで終わってしまった。さすがに1970年代の製品にルーツを持つ製品を延々と使い続けるわけにはいかないから、その後はアクティブ・フェーズド・アレイ形の艦載多機能レーダーが主流になった。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
アクティブ・フェーズド・アレイは配置の自由度が増す
まず、米海軍がアーレイ・バーク級フライトIIIで導入した、RTX社のレイセオン部門製AN/SPY-6(V)1 AMDR(Air and Missile Defense Radar)。これはもちろんアクティブ・フェーズド・アレイ形だから、「CFAの周囲にアンテナ・アレイをまとめなければならない」という制約とは無縁。
AN/SPY-6(V)シリーズの送受信モジュールは、アンテナ・アレイを構成するアンテナと同じ数だけあり、過去に本連載で何度も書いてきているように、RMA(Radar Modular Assembly)と呼ばれるユニットを単位とする形でまとめられている。RMAの数を増やしたり減らしたりすることで、大きな高性能のレーダーも、小さなお手頃レーダーも作れる。
もちろん、電源やレーダー制御用のプロセッサなどは艦内に別途、設置しなければならないが、裏側に送信管を持つ必要がなくなった分だけ配置の自由度は増した。だから、RMAを9個に減らしたアレイを3面持つAN/SPY-6(V)3 EASR(Enterprise Air Surveillance Radar)を見ると、設置要領はAMDRとは違ったものになる。