今回は、ロッキード・マーティンとレイセオン・テクノロジーズ(傘下の、レイセオン・ミサイルズ & ディフェンス)が手掛けている艦載多機能フェーズド・アレイ・レーダーの話を。過去に取り上げた話と重複する部分もあるが、新たに仕入れた話もあるので、改めて取り上げてみることにした。→連載「軍事とIT」のこれまでの回はこちらを参照。
多機能レーダーのスケーラビリティ
今回のDSEI Japanでは、ロッキード・マーティンがSPY-7レーダー、レイセオン・テクノロジーズがSPY-6レーダーをフィーチャーしていた。どちらも、使用する送受信モジュールの数を変えることで、コンパクトなレーダーでも大規模なレーダーでも生み出すことができ、モジュールの数が変わっても制御用のソフトウェアは共通で使える。
こうしたスケーラビリティを実現できるのは、個々の送受信モジュールが単独で完結している、アクティブ・フェーズド・アレイ・レーダーならでは。一つの送信管から枝分かれさせて個別の移相器とつなぐパッシブ・フェーズド・アレイ・レーダーでは、こうはいかない。
第334回や第383回でも取り上げたように、その送受信モジュールをどのような形態にするかで、SPY-7とSPY-6には考え方の違いがある。
別にどちらが正しいとか間違っているとかいうつもりはなくて、メーカーによって考え方が違うのが興味深い。