本連載では日本ヒューレット・パッカード(HPE)のさまざまな社員の「こぼれ話」を綴ります。今回は半導体にまつわる話を紹介します。→過去の回はこちらを参照。

古くから実用化されている画像認識の応用例

AIの活用例としてChatGPTが話題になっていますが、AIを使った処理の中で"画像認識"は以前から世の中で広く使われています。最近ではAIを使った画像認識の精度が上がったことで、人間の顔を認識して改札を通過する実証実験や、自動車の自動運転機能がどんどん高度化するなどしています。

そんな中、古くから実用化されている画像認識の応用例が、自動車のナンバープレートの読み取りです。この業界では"車番認識"と呼ばれています。幹線道路に設置されていて、通過する車両のナンバープレートを読み取っている"nシステム"は1980年代から配備が始まっているなど、車番認識は古くから実用化されていました。

ところで、自動車のナンバープレートのフォーマットは国や地域によって異なっているのをご存知でしょうか?日本では上下2段になっていて、上段に地域名と数字、下段にひらがなと数字が記載されています。

この上下2段になっていることが、文字の位置を確定する難易度を高くしているそうです。EUや韓国では、読み取りやすくするために1段だけのフォーマットに変更して、認識率を上げています。車番認識のためにフォーマットを変えるか、フォーマットはそのままに技術で克服するかという考え方にお国柄が表れているような気がします。

難易度が高いとは言えAI技術の進歩によって車番認識の精度は高くなっており、それに伴って用途も増えてきています。皆さんも、ゲートやタイヤロック板のない駐車場を利用したことはないでしょうか?

車番認識を使って、駐車した自動車のナンバープレートを認識することで実現した駐車場です。他にも、工場への車両の入退場チェックを車番認識で自動的に行ったり、バスの運行状況を確認するために使われたり、さまざまな用途で使われています。

車番認識の有効な使い方として、認識した自動車のナンバーから付随する情報を結び付けて接客に活かしていくことが始まっています。例えば、自動車の販売店の入口での車番認識です。

自動車販売店はお客さまの自動車のナンバーを把握していますので、入口で自動車のナンバーを認識することで、そのお客さまの担当営業は誰か、来店予約があるか、車検の時期に来ているかなどの情報を店内のディスプレイに表示できます。それを見て受付ではお客さまから言われずとも、適切な案内ができるという仕組みです。

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ネットワーク経由でリモートのサーバーを効果的に管理する機能

同じようなことは、自動車ではなく人間の認識でも可能です。勤務歴が長い店員がいる店舗では顔なじみのお客さまに対して、過去に何を買ったか、欲しいものの傾向などが店員の記憶の中にあり、それを使ってお客さまに最もふさわしい対応ができます。

これが"オモテナシ"です。でも対応したことがないお客さまや、経験が浅い店員では、このようにはいきません。これを解決するのが人間の認識です。カメラで来店した人を認識し、その人の過去の購買履歴などの情報を手元の端末に表示することで “オモテナシ”が可能になり、お客さまの満足度向上につながります。

車番認識や人間の認識だけならカメラでもできるようになってきていますが、他のデータとの連携が必要な場合にはサーバーが使われています。各店舗で使われる場合、サーバーはデータセンターに配置されるのではなく、全国各地に配置することになります。この時に問題になるのが管理です。

ちょっとした変更や、不具合のチェックをするのに全国各地を担当者が回るのは大変ですので、現地に行かずにサーバーの管理をすることが必要です。これを解決するために、遠隔地からネットワーク経由でリモートのサーバーを効果的に管理する機能がサーバーに実装されてきています。

サーバーに障害があった時には、サーバーが自動的に通報して、通報を受けたベンダーでは即座に障害対応を開始することで障害対応を迅速化しています。また、多くのサーバーに対してファームウェアの更新を自動的にスケジュール指定して実行できるなど管理者の工数を減らすこともできるようになっています。身近なところにあるサーバーをより簡単に活用できるようになっていきますので、今後のサーバーの進歩にご期待ください。

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