本連載では日本ヒューレット・パッカード(HPE)のさまざまな社員の「こぼれ話」を綴ります。今回は半導体にまつわる話を紹介します。→過去の回はこちらを参照。

重要な役割を担う携帯基地局

スマートフォンで電話する時、どうやって他の人のスマートフォンに繋がるのか、どうしていろいろな情報にアクセスできるのか、ということは皆さんご存知でしょうか?

スマートフォンはまず一番近い携帯基地局に無線で繋がります。携帯基地局は、ビルの屋上や鉄塔の上にあるアンテナが付いた箱になっていて、街中でも時々目にします。

電話の場合には、その基地局から相手のスマートフォンに近い基地局まで光ファイバーなどの有線で接続し、その基地局から相手のスマートフォンに無線で繋がります。

情報を見る場合には、基地局から有線でインターネットに接続して各サイト上の情報にアクセスするわけです。つまり無線が使われるのはスマートフォンと基地局の間だけで、その先は有線のネットワークに接続しています。

こういう仕組みなので携帯基地局はとても重要な役割を担っており、日本国内を幅広くカバーするためにその数は60万以上あります。今回の話題は、この携帯基地局のナカの話しです。

携帯基地局の仕組みはどうなっているのか?

携帯基地局には受信した電波からの信号をネットワーク通信に変換する装置が設置されています。この装置はソフトウェアとハードウェアを一体化した専用の装置が使われてきましたが、同じベンダの機器同士しか接続できないなどの制限がありました。

しかし最近では、ソフトウェアとハードウェアを分離して、ハードウェアとしては汎用的なサーバーを使用する vRAN(vertualized Radio Access Network)が広まってきています。

vRANでハードウェアとして汎用的なサーバーを使用することによって、コストを抑えたり、サービスの展開にかかる時間を短くしたり、リソースを柔軟に調整して繋がりやすさを向上させたりしています。

vRANはO-RAN(Open RAN) ALLIANCEなどが標準化を進めており、異なるソフトウェア間での接続ができるようになっています。このような状況なので、ビルの屋上にある携帯基地局の中には最近はサーバーが入っているのです。

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でも携帯基地局って見ての通り狭いですし、建物内に設置されていないので暑さ・寒さともに厳しいのです。

そのため、携帯基地局で使えるようなサーバーを用意しています。普通のサーバーは長さが70cmくらいありますが、それを 45cm程度に縮めたり、稼働できる温度の範囲を広くしたりして基地局でも使えるようにしています。

さらに携帯基地局によっては人が出入りできるところに設置されているため、セキュリティも問題になります。サーバーに不正な装置を取り付けられたりしたら大変です。

これを防ぐために、サーバーを開けたことを検知したり、元の構成と違っていないかをチェックしたり、ファームウェアを書き換えられていないことを確認するなどの機能をサーバーが持つようになっています。設置場所によっては、このサーバーのセキュリティ機能が非常に重要になるのです。

このようにして携帯基地局でサーバーが使われています。実はデータセンターやマシンルームにないサーバーは他にもたくさんあって、サーバーは活躍の場を広げています。今後も「こんなところにサーバーが?」という話題を提供していきたいと思います。

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