MicrosoftはWindows Terminalのリリースへ向けた開発を着々と進めている。このままいけば2019年12月にリリースされるプレビュー版で新機能の開発は落ち着き、2020年4月には正式版となるWindows Terminal v1.0が公開される見通しだ。今回は2019年9月に公開されたWindows Terminalプレビュー版の注目点を紹介しておこう。
Windows Terminalリリーススケジュール
Microsoftは開発中のWindows Terminalについて、4週間ごとのリリースを実施している。最初の2週間を新機能の開発に、その後の1週間を品質の向上と安定性向上に、最後の1週間をリリースへ向けた準備にあてている。このように、4週間で1つのプレビュー版をリリースする流れを取っており、ほぼ1カ月おきに新しいプレビュー版を公開する流れになっている。
現在のリリーススケジュールをまとめると次のようになる。
日程 | リリースバージョン |
---|---|
2019年09月末 | 1909 |
2019年10月末 | 1910 |
2019年11月中 | 1911 |
2019年12月中 | 1912 |
2020年01月末 | Beta 1 |
2020年02月末 | Beta 2 |
2020年03月末 | RC |
2020年04月頭 | v1.0 |
バージョン番号は2019年9月のリリースから変更となり、従来のv0.5.????といった表記から1909といった日付をベースとしたものに変わっている。2019年12月のリリースまでで機能の実装は終了し、あとは3カ月かけて品質の向上や安定性の向上が取り組まれる。2020年4月には正式版となる「Windows Terminal v1.0」が公開される予定になっている。
Windows Terminal Preview 1909
2019年9月にリリースされたプレビュー版は「Windows Terminal Preview 1909」と呼ばれている。このバージョンにはそれほど多くの新機能の追加は行われていない。スタイラス選択のサポート、Alt+F4 (closeWindow)を押した場合に複数のタブが開かれていたら警告目的のダイアログを表示、クリップボードバグの修正、などが実施されている。
それ以外はバグ修正が主な内容だが、1点だけ、新たなフォントが同梱されるようになった点が注目される。
新しい等幅フォント「Cascadia Code」
ターミナルアプリケーションで重要になるのは等幅フォント(モノスペースフォント)だ。等幅フォントを使うことでターミナルの表示は整ったものになり、認識しやすくなる。
MicrosoftはWindows Terminalでの利用を想定して設計した新しい等幅フォント「Cascadia Code」を公開した。このフォントはオープンソース・ライセンスの下で提供されている。従来のモノスペースフォントと異なり、特にプログラミングで利用することを想定した合字(リガチャ)が含まれている点が注目される。
「Windows Terminal Preview 1909」にはCascadia Codeが同梱されており、Windows Terminal Preview 1909をインストール(へアップデート)するとWindows 10に自動的にインストールされるようになった。
Windows Terminalのデフォルトの設定ではCascadia Codeを使うようにはなっていないが、次のように設定ファイルのfontFaceの項目を"Cascadia Code"に変更すると、このフォントが利用できるようになる。
フォントは好みがあるので一概には言えないが、Cascadia Codeはターミナルで使用するにあたって見やすいフォントではないかと思う。また、このフォントはVisual StudioやVisual Studio Codeので利用も考えられている。今後多くのシーンで見かけることになりそうなフォントである。
Visual StudioやVisual Studio Code、または比較的最近のモダンな開発環境やエディタを使っているユーザであれば体験していることだと思うが、等号などの記号を合字で表示するというのが1つのトレンドになっている。Cascadia Codeはそうしたトレンドに対応するフォントということになる。
入力している文字がいきなり合字に入れ替わるので好みが分かれるところだが、そうした流れに沿ったフォントであり、Windows Terminalでもこうした合字を活用した使い方が広がっていくことも考えられる。
Windows Terminal、WSL2、Visual Studio Code
Windows TerminalやWSL2など、現在Microsoftが進めている新しいアプリケーションまたは機能は概ね開発者から賛同を得ているように見える。これまで開発者が本当に欲してきたものをMicrosoftが開発しているように思えるからだろう。
Visual Studio Codeの人気もかなり高い。この辺りの開発は最も熱い状況だ。2020年5月または6月にリリースが予定されているWindows 10 フィーチャーアップデートにこれら機能が取り込まれることになるだろう。ますます今後の動向から目を話すことができない状況だ。