これまで、クラウドサービスの中でもIaaSのようなインフラに近いサービスになるほど、独自に導入しようとすれば自社に高い開発・導入スキルが求められること、そしてそうではない多くの企業の場合にはSIerやMSP(Management Services Provider)のような外部の業者に頼らねばならずコストがかかってしまうことを説明してきた。そして前回の最後、「それほどITスタッフのリテラシーが高くなくても、適切なコストで安心して企業のニーズに合ったクラウドサービスを利用するためには、サポートが充実したクラウド事業者を選ぶのが最適な選択肢となる」として、at+linkが提供するIaaS「at+link クラウド」について少しだけ触れた。そこで今回は、at+link クラウドがいかに企業の様々なニーズに合わせて利用できるかを理解いただくために、その具体的なサービス内容について紹介することにしよう。
ユーザービリティーにこだわった直感的な「コントロールパネル」
ビジネスユースに最適化したクラウドサービスとして開発されたat+link クラウドは、導入から運用までを簡易かつ安心して行えるよう様々な工夫が凝らされている。それは後に詳述する手厚いサポートといった人的支援はもちろんのこと、最短1分で仮想サーバーを構築可能という直感的なインタフェースを備えたコントロールパネルにも反映されているのだ。
コントロールパネルでは、サーバーラックを模したGUIによってあらゆる操作が可能となっている。
具体的には、仮想サーバー1台ごとにCPUコア数やメモリ容量といったスペックやIPアドレスなどの表示がされるとともに、アイコンからロケーションやテンプレート、追加ディスクなどサーバーに関する基本設定や、リソースグラフやネットワークの確認などが行えるようになっている。サーバーの起動や停止、削除といった操作も一発で実施可能だ。
さらに、より詳細な設定についてもすべてこのコントロールパネルで操作できる。例えば、アカウントごとに詳細な操作権限を設定できるため、プロジェクトスタッフの業務内容に応じた柔軟な権限設定を適用するといったような効率的な管理・運用が可能である。また、CPUは1コアから8コアまで、メモリは1GBから16GBまでの範囲で要件に合わせて簡単にスペックの設定変更も行える。これにより、クラウドの大きなメリットの1つでもある、必要に応じた自由かつ迅速なリソースの適用がいとも容易に実現できるのである。
リンク at+link事業部の事業部長、内木場健太郎氏は、コントロールパネルのユーザービリティやデザインへのこだわりについて次のように力説する。
「より多くの人びとにとって、わかりやすく、そして使いやすいUIをと考慮した結果生まれたのがこのコントロールパネルです。とりわけ中堅中小企業などの場合、ITスタッフの人数にもスキルにも余裕がないことが多いでしょう。そうしたお客様でも安心して使いこなせるものとなるUIを目指しました。at+linkのコントロールパネルは、一回使い方を理解していただければ、すぐに利用できるだけでなく、さらに応用レベルでの活用までも可能なレベルまで簡単に到達していただけると自負しています」
OSレイヤから上を手厚くサポート
このようにat+link クラウドのコントロールパネルでは、サーバーの構築から設定、運用までを素早く簡単に行うことができる。しかしそれでもやはり初めてクラウドを利用する企業や自社でのシステム構築経験が乏しい企業にとっては、ネットワーク設定やファイアウォール設定などは壁となることだろう。そこで頼りになるのが、これまでにも述べたat+link クラウドの最大の魅力となっている手厚いサポートなのだ。
例えば、WAN/LAN/DMZなどのネットワークやファイアウォール、ロードバランサの設定もコントロールパネル上から簡単に行うことができるのだが、具体的にどのような内容で設定すればいいのかでとまどう場合もあるだろう。そのような時には、at+linkのスタッフからその豊富な経験に基づいたアドバイスを受けることができるようになるというのだ。
標準サポートには、OSレイヤー以上のサポートが含まれており、トラブル時には各種設定内容の確認やコマンド操作の代行といった一次オペレーションの代行を行うとともに、ユーザーが困っている場合は、Apacheの設定の不具合やメール送受信のトラブルなど、ミドルウェアやアプリケーションレベルであっても、できる範囲で対応を行う。
さらにオプションとなるプレミアムサポートでは、異常を検知した際にユーザー指定の手順書に沿った一次対応も実施する。
リンク at+link事業部の営業部長、滝村享嗣氏は言う。「まずは"人"が基本となってお客様から話を聞き、そしてどのようなサービス内容が最適なのかご提案するというのがat+link クラウドのコンセプトです。導入時にどのような目的で使いたいのかをよくうかがったうえで、それに合わせたセキュリティの設定や仮想サーバの構成、ネットワーク構築といった設定をコントロールパネルで代行できるような初期導入時のサポートも行います」
内木場氏は続ける。「『クラウドだからサポートなんていらないのではないか』といった声が一部で聞かれますが これはクラウドに対する旧来の固定概念が根強く残っているためだと思います。
1年後、2年後により多くの企業がIaaSを使うようになったときには、必ず誰かがサポートをしなければならないということが常識となるでしょう。そのような未来のためにも、まず我々がIaaSへの固定概念を払拭するようなサービスを提供しなければと決意したのです」
専用サーバーというもう1つの選択肢も
at+linkで他のクラウド事業者にはない例外的とも言える充実したサポートを提供できるのも、前回説明したように長年にわたって展開してきている専用サーバーのサービスで蓄積されたノウハウがあってこそである。そして場合によってはクラウドではなく、この専用サーバーを選択肢に入れることができるというのもまたat+link クラウドならではの特徴となっているのだ。
例えば、一般的にクラウドサービスはリソースに応じて課金をするため、大量のリソースを占有するようなシステムの場合には、むしろ専用サーバーの方がトータルでのコストが低くなることも珍しくない。また、他のユーザーと物理リソースを共有するクラウドではセキュリティ上の理由から適さないシステムもあるが、専用サーバーならばそのような問題はない。
「なんでもクラウドでやればいいというわけではありません。お客様と対話しながら、クラウドとはどういうものかをきちんと理解していただいたうえで、適切な選択肢をご提案していきたいと思っています」(内木場氏)
さらにat+linkでは、クラウドと専用サーバーを組み合わせたハイブリッド運用のサービスの提供も行っている。クラウドシステムと物理サーバーとの双方の利点を生かしたこのような新しい取り組みがどのようなものでどのように活用されているか、さらにはより可用性や拡張性を高めるための最新の技術の採用などについては次回に詳説することにしたい。