NECは8月、Android端末「LifeTouch」に、企業ユースを考慮しセキュリティ機能を強化したセキュリティパックモデルをリリースした。セキュリティパックモデルには、キーボード付き「LifeTouch NOTEビジネス向けモデル」、およびタブレット型の「LifeTouchセキュリティパックモデル」がある。
今回から何回かに分けて、LifeTouchのセキュリティモデルについてレビュー記事をお届けすることになった。最後までお付き合いいただければ幸いである。
第1回目の今回は、「LifeTouch NOTEビジネス向けモデル」のファーストインプレッションと、ハードウェアとしての部分、標準装備しているソフトウェア、利用可能にするまでの初期設定といった話について取り上げていこう。
試用機の主な仕様 [CPU] NVIDIA Tegra 250 モバイルプロセッサ [メモリ] 512MB [内蔵メモリ] 8GB(仮想SDメモリーカード領域として6GB使用) [ディスプレイ] 7型ワイドTFT液晶(800×480ドット)、抵抗膜タッチパネル [ネットワーク] IEEE802.11b/11g/11n準拠 [インタフェース] miniUSB、ヘッドフォンステレオ出力・マイク付きヘッドフォンステレオ入出力共用ミニジャック [キーボード] QWERTY配列キーボード(81キー) [カメラ] 2Mピクセル、CMOS [バッテリ駆動時間] 最長約9時間 [サイズ/重量] W234×H138×D25mm/約699g [OS] Android 2.2 [価格] 53,000円(税別)
第一印象と初期設定
「LifeTouch NOTE」の現物に接したときに最初に連想したのが、1997年に発売されたWindows CE 1.0マシン「モバイルギアMC-CS12」だった(なぜか未だに手元にある)。
携帯性を重視したサイズ、タッチスクリーン式のディスプレイ、メールや各種ビジネスアプリケーションのデータ閲覧機能、Webブラウザなどを備えた点など、共通する点はいろいろある。
もちろん、OSもハード構成も全く異なる上に、ネットワーク接続手段に時代の違いを感じる。「MC-CS12」は19.2kbpsのアナログモデムしかなく、基本的には母艦となるWindows PCとのデータ同期が前提となっていたが、「LifeTouch NOTE」はIEEE802.11b/g/n無線LANに加えてVPN(Virtual Private Network)も利用できるし、Bluetoothのインタフェースも備えているから、自立したネット端末として利用可能である。
「LifeTouch NOTE」はネットワーク環境の存在を前提としているところに、PCを「母艦」としていた「MC-CS12」との時代の違いを感じる。ということで、開梱して充電した後に真っ先に行う作業は、ネットワーク接続のための設定である。これができないと何も始まらない。
手持ちの無線LANアクセスポイントがあれば、初期設定画面の指示に従って設定を行うことで無線LANへの接続が可能だし、WPS(Wi-Fi Protected Setup)や、NECの「らくらく無線スタート」に対応していれば、その際の設定作業を簡略化できる。手作業で設定する場合、設定画面に表示されるMACアドレスの情報を確認して、それをアクセスポイントに登録する必要があるだろう。
無線LANを介したインターネット接続が可能になったところで、次にGoogleアカウントの登録を行う。OSがAndroidだから、Googleアカウントを使うのは当然といえば当然の話であろう。筆者は手持ちのGoogleアカウントがあるので、それをそのまま使った。
また、ソフトウェアについては初期設定の過程で、NEC製の「ライフノート for Business」をインストールできる。「MC-CS12」の時代ならソフトウェアのインストール手段をどうするかが問題になったところだが、今は話が違う。「LifeTouch NOTE」では、Googleアカウントの設定を行うと自動的にAndroidマーケットに接続して、そこからインストールするようになっている。
つまり、「LifeTouch NOTE」を利用可能な状態にするには、まずはIEEE802.11b/g/n無線LANが利用可能になっていなければならない。これは注意点だといえる。もちろん、据え置きのアクセスポイントだけでなく、いわゆるモバイルルータの利用も可能である。
キーボードとその他のインタフェース
キーボードは16.8mmピッチで、この筐体のサイズとしては頑張った部類といえる。ただし上下方向が圧縮されているのと、右寄りにあるキーの幅が詰まっていることから、人によっては慣れが要るかも知れない。筆者のように「かな入力」の人間にとっては、右寄りのキーの幅が切り詰められているのは、あまり嬉しい話ではないのだが。
画面サイズは7インチ(800×480ドット)で、前述したように、タッチスクリーンになっている。手で直接操作することも、筐体の裏側に隠し持っているペンを使うこともできるのだが、附属のペンは小さくて持ちにくいし、いちいちペンを取り出すと紛失する危険性もありそうだ。思い立ったときにパッと操作できるのがこの製品のポイントだから、指で直接タッチして操作する方が効率的だし、間違いも起こらないだろう。
なお、Windowsと違い、[Tab]キーでフォーカスの移動が起こるわけではないので、つい癖で[Tab]キーを押してしまわないように注意が必要だ。入力したいところや選択したいところを指でタップ、が基本である。その他の画面操作としては、「長押し」「ドラッグ」「スクロール(指でなぞって移動)」がある。スマートフォンに慣れた方なら戸惑わないだろう。
キーボードの下部には「ポインティングデバイス」がある。ただし、ノートPCでおなじみのスティック型ポインティングデバイスとは勝手が違うので、注意が必要だ。デバイスに触れると画面にオレンジ色の選択枠が現れて、「デバイスを指でなぞると選択枠が移動」「デバイスを押すと選択」という動作になる。うっかりして、押し込みながらなぞってしまうと、選択枠が移動する前に選択操作が行われてしまう。これは、デバイスの設計が良くないわけではなくて、慣れの問題である。
IEEE802.11無線LAN以外のインタフェースとしては、Bluetoothがある。SD/SDHCメモリーカードのスロットもあるが、試用したモデルでは無効化されている。企業ユースを想定すれば、メモリカードを自由に装着できるとデータ漏洩やマルウェア感染のリスクが高まるから、「無効化されているので良くない、困る」という話でもない。ただしその結果として、外部とのデータ交換はすべてネットワーク経由で行う必要がある。
ということで、筆者は今回の試用に際して、「LifeTouch NOTE」とWindows PCの間のデータのやり取りをデータはすべて、Gmail経由で別のメールアカウントとの間で、ファイルをメールに添付する方法で行うこととした。「LifeTouch NOTE」を使った作業はオフライン状態でも行えるが、Gmailの利用に際しては当然ながらインターネット接続が必須だから、外部とのデータのやり取りは、自宅、あるいは出先で無線LANに接続できる状況が整っている場合にのみ可能、ということになる。