大容量のファイルをクライアントやチームメンバーに送信する際、メールに添付では迷惑がかかる可能性があるので、ファイル転送サービスを利用する場合があります。国内外に転送サービスは数多く存在しますが、どれだけ大きなファイルサイズに対応しているかを示しているだけで、安全性が気になるところです。SSLの導入などシステムで補助出来る安全は保たれていても、人為的なミスで大切なファイルが外へ漏れてしまう可能性もあります。また、転用されたくない資料を送らなければならない場合がありますが、本当に転用されないかどうか心配な場合もあります。多少手間になったとしても安全かつ確実にファイルを手渡したいという方に便利なのがWatchDoxというサービスです。

転送出来るファイルサイズはひとつにつき最大 15MB なので大容量とは言いがたいですが、WatchDox は転送したいファイルに対して様々な権限を設定することが可能です。どれくらいの期間、ファイルにアクセス出来るか指定出来るだけでなく、印刷や転送を許可するかといった権限を付けることも可能です。また、トラッキング機能も実装されており、誰が何時どのファイルを観覧したり印刷したのか確認することも出来ます。

転送するファイルに様々な権限を与えることが出来ます。無期限アクセス可能という設定は意外になかった機能です。自分のパソコンではなく出先のバソコンの場合は、「Keep me authenticated」のチェックボックスをオフにします

転送したい相手に日本語でメッセージを添えることが出来ます。英語で説明が書かれている部分があるので、それを補助する形で書いておくと良いでしょう

誰がどのファイルへアクセスしたのかはウェブ上で確認出来ますが、メールでお知らせもしてくれます

何処からアクセスしているのかまで分かるトラッキング機能。転送した個々のファイルは送信後も権限や期限を変更することができます

今まで送受信したファイルはすべて「My Document」上で管理することが出来ます

WatchDoxでは会員登録のためのログインが存在せず、送信する際に利用するメールアドレスとIPアドレスをマッチングさせて認証するというシステムを採用しています。認証のためにメールの確認を行う必要がありますが、次回からはサイトにアクセスしただけでページ上部に名前が表示されます。認証されたパソコンでないと、WatchDoxのドキュメントにアクセス出来ない仕組みになっています。パスワードを覚える手間もなければ、安全なパスワードか心配する必要がなくなるためのひとつのアプローチといえるでしょう。

面倒な手続き抜きで、いきなりサービスを利用することが出来るWatchDox

転送メールが自分のメッセージ付きで相手に届きます。ファイルを観覧するためのURLは、認証コードにもなっており、同じパソコンを使っている限り相手もWatchDoxのサービスを利用することが出来ます

パソコンを変えてアクセスした場合は、再度認証を行う必要があります

相手に送信する前に、自分宛に認証メールが届きます。自分が利用しているパソコンとメールアドレスをマッチングするための認証プロセスになります

転送したファイルは独自のFlashビューワーで観覧出来るようになっています。権限設定によりますが、著作権保護の目的でウォーターマークを表示させたり、印刷やコピー&ペーストが出来ないようになります。また、パソコンを少し離れている間に通りすがりの誰かに見られないように『スクリーン機能』が実装されています。まず、観覧前にEnter(Return)キーを長押ししなければ、ファイルがぼかし状態になって見えないようになっています。また、ブラウザから別のアプリケーションへスイッチした瞬間に再びぼかしがかかり、再度クリックするまでその状態が続きます。間違って誰かに見られてしまう心配が軽減されます。

Flashビューワーは日本語にも対応しているので安心。ビューワーから離れると自動的にぼかしがかかります

ファイルを観覧するには、WatchDoxのサイトへアクセスする必要がありますが、Outlookのプラグインを利用することで、その場で観覧出来るようになります

一度転送したファイルを更新したい場合も、再度別のファイル名で送ることなく、現存ファイルを更新することによって、共有している方も同じ状態のものを見ることが出来ます。古いバージョンのファイルにはアクセスさせたくないときに便利な機能です

単にファイルを転送したり共有するのであれば、WatchDoxよりお手軽なサービスは存在しますが、セキュリティを意識したいのであれば最適なサービスといえます。安全に保つための工夫が随所に施されているだけでなく、安全に転送するためのプロセスを可能な限りにシンプルに実現している点も注目です。現在、β版使用で一部の機能を除いて無料で最大 50MB のデータのトラッキングが可能です。今後、無料版は残るものの、さらに多くのファイルが管理出来る有料サービスも始める予定です。