オンラインで使えるメモ帳と一言でいっても様々な種類があります。Google Docsのようにワープロソフトを変わりない環境で書き込める多機能アプリ。又は独自の記述方法があるものの、複数人の書き込みの自由度が高い Wiki。または、文字装飾や画像の書き込みといった機能がなく、文字入力のみに特化したシンプルなアプリ。doingTextは、このうちの三番目にあたる機能が絞られたアプリですが、複数人で共有するのに最適です。詳細な履歴も分かり、機能も充実していることを考えるとWikiが最適ですが、独自の入力方法をもつので誰でも気軽に参加するのは難しいですし、ディスカッションには向いていません。また、多くのメモアプリは会員登録を必要とするので、同じサービスを利用していなくてはならないという前提が発生します。
doingTextは高度な編集機能はありませんが、メモとして利用したり、複数人とのディスカッションをするのに最適なサービスです。誰でもアクセスするメモを作るだけであれば、会員登録は不要。トップページにある入力フィールドに文字を記入すれば自動的にメモが作成され、独自URLも発行されます。URLを知っている利用者であれば、誰でもアクセス出来るだけでなく書き込みも可能なオープン状態になりますが、doingTextのほぼすべての機能を利用することが出来ます。
トップページにある入力フィールドをみると単純なオンラインメモ帳という印象がありますが、独特なコンセプトをもつアプリです。ひとつの『メモ』にタイトルと本文が表示されるエリアがありますが、本文は複数のブロックにより構成されています。ひとつのブロックには複数行の文字を書くことが出来るだけでなく、そのブロックに対してコメントを加えることが出来ます。複数人でdoingTextを使う場合、幾つかのアイデアを箇条書きし、それぞれのアイデアにコメントを書き込むといった使い方が出来ます。アイデアを練って行くうちにそれぞれの項目に手を加えることがありますが、文書全体だけでなく、各ブロックごとにそれぞれ履歴管理機能が付いており、それぞれのアイデアがどのように変化していったのかも分かるような仕組みになっています。こうしたことから、doingText は掲示板とWikiが組合わさった独特のサービスといえるでしょう。
作成したメモの進行状況をRSSを使ってサービス外から確認することも出来ますし、テキストファイルやPDFに書き出しておくことも可能です。また、個々のメモはウェブサイトに貼付けるためのコードを生成するので、そのままサイトのコンテンツとして利用が出来ます。オープンディスカッションをウェブサイト上で告知し、doingTextへ誘導し、ディスカッションに参加してもらうといった流れが確立されます。こうした機能はすべて非会員でも利用出来ますが、会員になるとメモをプライベートモードに変換したり、特定の人だけが書き込みが出来るといった設定も可能になります。複数のメモを管理したいという方にとっても会員登録はお勧めします。
4月にサービスを開始したばかりということもあり、幾つかの問題があります。メモの書き出しはPDFだと文字化けがしてしまいます。また、検索機能も英単語もうまくひっかからない場合もあり、多くの情報を書き込む際は不便に感じることがあるかもしれません。しかし、こうした問題は今後、様々な機能の追加と同時に解決されていくでしょう。会員登録も必要としないシンプルな共有環境が欲しい方は doinText を試してみてはいかがでしょうか。