ブレインストーミング(集団思考法)をする際、1名、もしくはそれ以上の方が、一枚の大きな紙やホワイトボードにそれぞれのアイデアを書き込むことがあります。アイデアを出し合う際に重要なのは、誰もが自由に書き込むことができ、それらを全員で平等に一望できるところにあります。パソコンでブレインストーミングすることができれば、アーカイブとして残しやすいというメリットはありますが、デメリットも幾つかあります。パソコンでは、紙ベースで行うような自由で平等な環境を作るのは難しいです。まず、同じソフトウェアを持っていなくてはいけませんし、使うソフトウェアにも自由に書き込む機能が必要となります。また、アイデアをインプットできるだけでなく、その過程も残せるものはさらに限られています。こうしたパソコンのもつデメリットを克服し、パソコンで自由なブレインストーミングを可能にしてくれているのがThinkatureというサービスです。

会員登録はユーザー名、メールアドレス、パスワードを設定するだけで簡単に行うことができますが、まずはホームページに設置されているワークスペースを利用してThinkature の使い心地を試してみると良いでしょう

新規作成は「Create new workspace」という赤いボタンをクリックして行います。ワークスペースに招待するユーザーは後で設定することもできますが、全体公開するかどうかは新規作成時にしか決めることができないので注意

Thinkatureは付箋紙のようなカードに文字を書き込んで、ワークスペースと呼ばれるキャンバス上に自由に貼付けることができるブレインストーミング用のWebサービスです。カードは色を変えることが可能なだけでなく、画像も貼付けられるようになっています。カードは微妙にずらして重ねることも可能で、重ねる順番も自由に変更できるので、実際のカードを使っているかのように高い自由度を持っています。また、それぞれのカードを矢印でつなぎ合わせられるので、単なるアイデアを並べるだけでなく、コンセプトマップを作ることも難しくありません。テキストや画像で表すことが難しい表現もペンツールを使ってフリーハンドで図形を描けるので、一部分を強調したり、また直線しか引くことができない矢印ツールの代わりとして曲線の矢印を描くといったことができるでしょう。

ワークスペースの一例。カードも色を使ってバラエティを持たせることができるだけでなくドローイングを使って強調させるといったことも自由に行うことができます

ワークスペース下に用意されているツール。ツールバーは選択、フリーハンド、ポインター、矢印の4つなのでシンプルで迷うことはありません。画像は自分の画像をアップロードできるだけでなく、画像検索で見つけた画像も貼付けることが可能。作ったワークスペースは印刷することもできます

ワークスペース下に用意されているツール。ツールバーは選択、フリーハンド、ポインター、矢印の4つなのでシンプルで迷うことはありません。画像は自分の画像をアップロードできるだけでなく、画像検索で見つけた画像も貼付けることが可能。作ったワークスペースは印刷することもできます

ひとりでも十分使うことができるThnkatureですが、最大の特徴は複数のユーザーで使う場合の共有機能です。作ったワークスペースは自分用のプライベート設定もできますが、特定の人に参加してもらって一緒に作業をすることも可能です。作業はワークスペースを表示させているユーザーにすべてリアルタイムで反映されるようになっています。例えばAさんが作ったカードが、作られたと同時にBさんのパソコンでも見られるようになっているわけです。

会員になっている方はユーザー名を書き込むだけで、招待することもできますが、非会員にはメールで招待メールが届くようになっています。メールに書かれているURLから会員登録すれば、すぐに共有ワークスペースで作業することができます

複数のユーザーで一緒に作業する場合、コミュニケーションが不可欠になってきます。Thinkatureには、それを補うためのチャット機能があらかじめ実装されています。チャットはテキスト版とボイスチャットの2つが用意されており、テキストチャットであればワークスペースでの今までの会話が記録されるようになっています。また、ツールバーにはポインターが用意されており、どの部分の会話をしているのか相手に伝えることも容易にできます。こうしたコミュニケーションツールは自分たちで別に用意しなければならない場合がありましたが、このようにThankatureの一部としてビルトインされているので、シームレスに作業ができるだけでなく、プロセスと完成品を一貫として管理が可能になるわけです。

ワークスペースの左下に用意されているテキストボックスを使ってチャットを行いながら作業をすることができます。マイクを内蔵しているパソコンを利用しているのであれば、すぐにボイスチャットを行えます

リアルで行うブレインストーミングのほうがプロセスも成果物もリッチではありますが、場所や時間に特定されることなく、幅広くアイデアをまとめあげなくてはならない場合もこれからは出てきます。無料で使えるというコストパフォーマンスやコミュニケーション機能が実装されている点をみてもThankatureは類似サービスとは少し異なる便利なサービスといえます。