ブレインストーミングはWebよりも現実で

仕事仲間とのコラボレーションやアイデアのブレインストーミングをするための道具はWeb上に幾つか存在します。場所や時間に捕われることなく作業ができ、ドキュメントの同期をとる手間も省けるのでWebアプリケーションは大変便利ですが、パソコンでの作業の欠点は、思ったことをすぐに書き込めない点と、同じ場所にいる人たちとリアルな共有ができないところかもしれません。

例えば、2、3人のチームでブレインストーミングをする際、全員が同じ場所にいるのであればパソコンではなく紙で行ったほうが効率的です。紙であれば、パソコンや利用するソフトのスペックという箱に捕われることなく自由に表現できますし、書き込んだらその場にいる人全員に情報を共有することができます。さらに、白紙に自由にアイデアを書き込んで行くのも手段ですが、テンプレートを用意しておくとブレインストーミングやミーティングを一貫して進めることができるだけでなく、参加しなかった他のメンバーとも共有しやすくなるのではないでしょうか。

各種テンプレートが使えるEducation Oasis

教育関連の仕事に携わっている K. J. Wagne さんが運営しているサイトEducation Oasisでは、授業の進め方や教育全般に関する様々な情報が掲載されています。このサイトには、印刷してすぐ授業で使える Graphic Organizers という58種類のテンプレートが用意されています。すべてPDF形式で、1枚の紙に印刷できるように調整もされています。テンプレートは大きく5つのカテゴリに分類されています。

現在58種類のPDFテンプレートをダウンロードすることができます。サムネイルがあるのでダウンロードしなくてもどんな見た目のテンプレートなのか分かりますが、無料なので気になったらとりあえずダウンロードしてみるとよいでしょう

原因とその効果を整理するために使う「Cause and Effect」、ペルソナを作って彼 / 彼女がどのような行動をするのかを考えるのに便利な「Character and Story」、複数のものを比較したり共通している部分を探し出す「Compare and Contrast」、周期やパターンを視覚化するための「Sequence, Cycle, Time Line, and Chain of Events」、言語の発展を図に表すことができる「Vocabulary Development and Concept」の5つになります。教育関連に使うことが前提に作られていますが、中には仕事でも使えるテンプレートを見つけることができます。

「Character Map」は作り出したペルソナがプロダクトに対してどのように感じどういった行動をとるのかを想定し書き込んでいくのに使えるテンプレートです

What(何)、When(何時)、Why(なぜ)、Who(誰)、Where(何処)、How(どのように)という5つのWとHを書き込むテンプレート。コンセプトを様々な角度から検討する際に使うことができます

「Think-Pair-Share」は異なる質問に対して1人1人が意見を書き込めるようになっています。2~4人で視点の違いやアイデアを総括する際に便利なテンプレートです

中央のマスから関連するアイデアを書き込んで行く

例えば 「Sequence, Cycle, Time Line, and Chain of Events」カテゴリにある「Chain of Events」というテンプレートは、Webサイトを訪れるユーザの進む経路を書き記すのもよいですし、制作プロセスを4フェイズに分けて見直すという使い方ができます。上記で紹介したいずれのカテゴリに属さないテンプレートは「Miscellaneous Organizers」としてまとめられていますが、その中にある「Cluster Web with 8 circles」というテンプレートは中央のマスから関連するアイデアを書き込んで行くマンダラートと似ています。マンダラートと同様、1枚でアイデアが留まらなかった場合は別の紙を用意してどんどんアイデアを広げて行くとよいでしょう。

「Cluster Web with 8 circles」の中心に書いたアイデアを八方に広げて行くという考え方はマンダラートに似ています

書き込んだテンプレートの内容をOmniGraffleVisioのようなダイアグラム作成ソフトを使ってアーカイブしておくのが理想的なのかもしれませんが、プロジェクトもしくはテンプレート別にまとめてファイリングしておいたほうがよいでしょう。あらかじめ数十枚ほど印刷しておけば、使いたいときにいつでも取り出せますし、同僚にまとめてプレゼントして使ってもらうように促すのもよいかもしれません。

A4サイズの紙にもぴったり印刷できます。あらかじめ幾つか印刷しておいて収納しておくと使う癖がつきやすくなるでしょう