今では「なす術がない」という意味で使われている「万事休す」という言葉。実は「万事を休息す(休息万事)」という、座禅の心得を表す教えの言葉が元となっているのです。

道元禅師は「普勧坐禅儀」という著書の中で、この言葉を使い解説しています。『諸縁を放捨し、万事を休息して、善悪を思わず、是非を管することなかれ』

休息万事とは「あらゆることをやめる」つまり「身の回り全ての物事から離れる」と言った意味の教えです。自身の執着やあらゆる情報から離れ、心の働きを休めて頭の中に流れる思考は放っておく。考えたり、判断したりすることもやめる。こうしたことが、心を整える上で大切であるというわけです。

このように「なにもしない」ということが、できているでしょうか?日常の中で我々は意識しているよりも多くの情報にさらされています。パソコンやスマホなどがあれば尚更でしょう。

ご飯を食べたりする時も眠る前も、あれこれと考えを巡らせている自分に気づくこともあるはずです。そして、「何かをする」「有意義に過ごす」ことができないと、焦りや罪悪感のようなものを覚えたりもする...心が疲れていたり、弱っていたりする時ほど、このようなことが毒になってしまう場合があります。

あえて思考のきっかけとなる身の回りの情報から離れ、思考そのものも休める、「なにもしない」をする練習をしてみるのはいかがでしょう。心が疲れた時の、回復の手立てとなるはずです。

■今回、登場したのは「すややもの」

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。その後、「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」、「こむぎこをこねたもの その4」をリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。