「誰かに非難されても平常心を保ち、くよくよしないように」とはよく言われますが、ブッダは「褒められても平常心でいるように」とも語っています。

自分の行動や意見が評価されていい気分になったとしても、これに味をしめてしまうと気持ちが大きくなって、自分が優っているという錯覚(仏教では「慢」といいます)から言葉が乱暴で高圧的になり、よく理解していないことについて分かったつもりで語ろうとする(増上慢)ようになるため、心の平安を害するものである、という考え方をしているからです。

多くの人に自分の意見を気軽に発信できる時代。自分に近い好みや意見を持った人と繋がりを持つことによって、賞賛を集めやすい環境ができることがあります。

「自分の意見を賞賛されたい」という思いが満たされていい気分になるという流れに味をしめてしまうと、ブッダが述べているように「自分の考えは正しい」と強く思い込みがちになり、自分の考えに固執したり、身の回りで起こっているさまざまな出来事に対して、必要以上に何か物申したくなったりもするものです。

グループの中で自分が年長者であるとか、周囲の遠慮などから自分の意見が通りやすくなるような環境にも気をつけておくと良いでしょう。

もちろん、多くの人から褒めてもらえることは自信につながりプラスの面も大きいのですが、自分は正しいという思い込みから視野を狭めたり、余計な論争に首を突っ込んで消耗したりとマイナスな働きをもたらさないように、褒められた時の心の動きも注意深く観察してみる必要がありそうです。

■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。その後、「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」、「こむぎこをこねたもの その4」をリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。