7月は蓮の花が見頃を迎えます。
仏教の世界観では、蓮は悟りを表すおめでたい意味合いを持つ花。仏像も蓮の花を模した台座(蓮華座)に乗っていたり、蓮の花を持っていたりもしますよね。
なぜ蓮の花が悟りを表しているかというと、濁った泥の中で咲く花を、煩悩に溢れた世界の中にあっても清らかな状態を保つ心に見立てているためです。
一方で、蓮は清流に咲くことはないと言われます。「蓮は泥より出でで泥に染まらず」「蓮出汚泥(はすはおでいよりいず)」「高原陸地に蓮華生ぜず、卑湿汚泥にこの花を生ず」 といった言葉がありますが、これらの中で示されているように、蓮の花が咲く泥の中という環境も重要な意味合いを持っているのです。
蓮の花の例えは、煩悩の世界の中にあっても決して汚れない境地があることを示すと同時に、煩悩や悩み・苦しみがあるからこそ教えが活き、悟りや真理への道があるということも示しているのではないでしょうか。
「執着は苦しみを生みますよ」「迷いのない平常心が大切ですよ」とか、「これが正しいやり方ですよ」と言われると、「こだわってはいけない、悩んではいけない」「正しいと言われたやり方でやらなければいけない」と神経質になり、かえって窮屈な思いをして疲れてしまうこともあります。
自分の中に生じる深い悩みや迷い、間違いや欲望を受け入れて見つめるからこそ、解決の道や、迷いの中でも穏やかであり続ける方法を探り出すことができたり、周りの人の悩みを知ることもできるはずです。
「悩んではいけない」「間違ってはいけない」と自分を縛らず、悩みや迷いが生じる自分の思考を、まずはしっかりと眺めてみることが大切です。
■こむぎこをこねたもの、とは?
■著者紹介
Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。その後、「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」、「こむぎこをこねたもの その4」をリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。
「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。