旅するこねたものたち、
空に浮かぶ月がはっきりと見える、
見晴らしの良い場所にたどり着いたようです。

この秋、いくつか「月」に関連する世界観や言葉を紹介してきましたが、
もうひとつ、仏教の例え話から「月」に関する内容を紹介したいと思います。

仏教では、月を真理(教えの本質)に、
お経や言葉などが「月をさす指」に例えられたりします
(「指月の喩」といいます)。
つまり、真理の在処や方向性を示し、
人を導くものが「月をさす指」というわけです。

月をさす指は、どこを向けば月すなわち真理を
見つけることができるか伝えるためにとても大切なものですが、
それ自体は指であって、月そのものではありません。

言葉の内容や表現、解釈などにとらわれていると、
伝えられるべき真理や教えの本質は見えなくなってしまいます。
このことを「月をさす指を見て、月を見ない」と表現するのです。

誰かと話すとき、文字でやりとりをするとき、
あなたは月をさす指だけを見ているでしょうか、
それとも月を見ているでしょうか。

言葉の形式ばかりが気になって、
相手の本当に伝えたいことを見落としていないでしょうか。

たとえば誰かに褒められた時、
相手の言葉選びが自分の好みでなかったとして、
そこにばかり注目してしまうと
相手が褒めてくれる気持ちそのものや、
あなたを良いと思ってくれる思いを見落としてしまいます。

逆に、相手の心に引っかからず、
伝えたいことを上手く伝えられる
言葉の組み立て方とはどんなものでしょうか。

月についてもそれを示す指についても、
考えるべきことがたくさんありそうです。


■こむぎこをこねたもの、とは?

■著者紹介

Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。

「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。