こむぎこ寺の一室に、花を飾り微笑みを浮かべるこねたもの
(と言っても、いつもの表情ですが)。
今週は、花と微笑みに関する仏教の伝説をご紹介します。
ある日ブッダが説法をするとき、
大勢の聴衆の前で花を持ち上げ、何も言わずひねって見せました。
聴衆がその意図をはかりかねている中、
ただ一人全てを理解した「迦葉(かしょう)」という弟子が
にっこりと微笑みました。
そこでブッダは、
「正しく真理を見る目や悟りの心は、
言葉や文字によって伝えることができないものである。
これらを迦葉に委ねよう」と告げ、
言葉によらず体得することを通して真理を伝えるという、
禅の奥義が迦葉に授けられたという伝説があります。
この伝説を「拈華微笑(ねんげみしょう)」といい、
「以心伝心」のような「言葉に寄らず思いが伝わること」
という意味の言葉にもなっています。
伝説のようにはいかなくとも、
我々の日常には「言葉や文字の説明がなくても
何をすべきかわかる、相手の意図やものの使い方が伝わる」
といったことが多く存在しているはずです。
そしてそのことは表現やデザインの分野などでも
たびたび重要なこととされます。
日常の中で、「説明がなくても伝わる」
という出来事に注目してみましょう。
道具の使い方などがすぐわかるように設計されていたり、
知識を共有した中で伝わることがあったり、
相手の表情や声の調子から伝わるものがあったり…
人と人、人と物とのコミュニケーションについて
新たな発見を得られるかもしれません。
■こむぎこをこねたもの、とは?
■著者紹介
Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。
「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。