禅の世界では、悟りに至るために大切な物事の捉え方を
身につけるための問題(公案)に答える修行の方法があります。
「禅問答」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
有名な公案のひとつに、「隻手の声」という問いがあります。
「片手で拍手をするとどのような音が鳴るか?その音を聞きなさい」という問題です。
拍手は片手でするものではないと考えられますし、
音が鳴るものではないと考えるのが普通でしょう。
しかしそれは同時に、無意識のうちに「常識」や「言葉」の中で
物事を捉えていることにもなります。
悟りの境地に至るには、物事にこだわったり、
思い込んだりすることから離れる必要があると言われますので、
こういった問題を通して「常識(思い込み)」や「言葉(論理)」の外に出る訓練をしているのです。
生きていると、決まった答えのない問いや、
考えても答えの出ない問題に直面することがあります。
何か新しいものやアイデアを生み出そうとするときも、
常識や論理の枠を出たり、答えのない問題に答えを与えつづけたりする必要があります。
自分が今どのような枠の中で物事を捉えているか、
その枠の中に答えはあるか、観察してみましょう。
片手で拍手をする音が、聞こえてくるかもしれませんよ。
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■今回登場したのは、禅のぼさつが宿った「こねり」
■著者紹介
Jecy
イラストレーター。LINE Creators Marketにてオリジナルキャラクター「こむぎこをこねたもの」のLINEスタンプを発売し、人気を博す。「こむぎこをこねたもの その2」、「こむぎこをこねたもの その3」もリリース。そのほか、メルヘン・ファンタジーから科学・哲学まで様々な題材を描き、個人サイトにて発表中。
「週刊こむぎ」は毎週水曜更新予定です。