東京ロボティクスは2022年1月31日、全身人型ロボット「Torobo」の性能動画を公開した。Toroboの性能で今回紹介したい驚くべきことは、インピーダンス制御とダイレクトティーチング。

では、このToroboとはどのようなロボットなのか、インピーダンス制御とダイレクトティーチングとはどのようなものなのか、今回はそんな話題について、紹介したいと思う。

全身人型ロボット「Torobo」とは?

東京ロボティクスが開発した、全身人型ロボット「Torobo」は、とてもスタイリッシュで、近未来感を感じさせるデザインを有している。

東京ロボティクスは、2015年に設立されたロボットシステムの開発などを手掛ける会社だ。CEOは坂本 義弘氏。ロボット工学と測位技術が専門で博士号(工学)を持っている。これまで、フリーランスエンジニアとして、組み込み系開発から高周波回路設計、ロボット開発などで多岐に渡り活躍してきた人物。その実績を活かしてロボット技術のビジネス化を目指して、尽力しておられるようだ。

そんな東京ロボティクスが、2022年1月31日にToroboの性能動画を公開した。ぜひ、多くの読者のかたに動画をご覧いただきたい。

東京ロボティクスの全身人型ロボット「Torobo」の性能動画(出典:東京ロボティクス)

この動画で紹介されているToroboの性能で驚くべきは、インピーダンス制御とダイレクトティーチングだ。

Toroboの性能

では、インピーダンス制御とダイレクトティーチングとは何だろうか。まず、インピーダンス制御だが、人との円滑なインタラクションを可能にする技術と考えていただいて構わない。

Toroboの各関節に搭載された高分解能トルクセンサによって、人との接触(インタラクション)を円滑に動作することが可能になるのだ。

動画では、両手を握って上下左右に大きく振る動作、両手を握って腕をしならせる動作、人に前方から押された動作が紹介されている。

また、驚くインピーダンス制御に、卵を使った柔らかな接触動作がある。生卵を押し当てても、割れずに上手に動作するのだ。

  • Toroboの性能の1つである卵を使った柔らかな接触動作

    Toroboの性能の1つである卵を使った柔らかな接触動作(出典:東京ロボティクス)

そして、もう1つの性能がダイレクトティーチング。人が、実際に手を添えて、Toroboにある動作、軌道を教える(ティーチング)。その軌道や動作をToroboは、覚えて習得し、再度同じ動作をすることができるのだ。動画では、コップに入った液体を別のコップに注ぐシーンがある。1滴もこぼさずにまた所用時間も指定することで完璧な再現動作を実施するのだ。

  • 全身人型ロボット「Torobo」のダイレクトティーチング(出典:東京ロボティクス)

いかがだっただろうか。

実はToroboは、人と共存するロボットの研究プラットフォームとして、JSTのムーンショット型研究開発事業(目標3:1人に1台一生寄り添うスマートロボット)でも使われている。 今回紹介した性能も人と寄り添うロボットに必要不可欠なものになるだろう。

他にも、NTTコミュニケーションズと人型ロボットの遠隔力制御※1に取り組んだり、人型ロボットを遠隔操作して自宅にいながらジムでトレーニングできる世界初のサービス「テレトレ」※2を開発したり、ユニークで最先端なビジネスも手がけている。

テクノロジーのすごさはもちろんのこと、豊富な利活用シーンを創造したり、ユニークなサービスも手掛けたりと、東京ロボティクスの今後に注目だ。

文中注釈

※1https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000077249.html
※1 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000077249.html