普通、目を閉じれば映像は見ることはできない。しかし、目を閉じたままで映像を見ることができる、そんな装置がある。
その装置の名は、Imagraph(イマグラフ)。では、Imagraphとはどのような装置なのか、この装置を開発したのはどんな人物なのか、今回は、そんな話題について紹介したいと思う。
Imagraphの開発者は?
目を閉じたままで映像を見ることができる装置。まず、このユニークな発想を持った装置に興味が駆り立てられるのは私だけだろうか。この装置を開発したのは、村本剛毅氏。
村本剛毅氏は、東京大学に所属している。それだけでももちろんすごいのだが、才能はこれだけにとどまらない。アートの分野にも秀でた独創的な発想を生み出すことができる人物なのだ。
村本剛毅氏という人物がよくわかる記事が東大新聞オンラインに、紹介されている※1。
“芸術やものづくりが好きで、大学受験では表現手法を究めるために東京藝術大学も考えた。「しかし、表現するとは何か、みたいな、根本的な問いにも向き合いたいと思ったんです」。人工の知能や身体、生命に関する研究などを通じて、人間の思考や動作の本質に迫ろうと、東大の工学部を選んだ。”
その才能は、高校時代から垣間見ることができる。高校時代に所属していたオーケストラ部では、ミュージカルの監督・脚本・演出を担当。2000名規模の観客を動員したり、イルカの「バブリング」を多角的に分析。国際コンテストで米国行きを切符を勝ち取ったという。
Imagraphとは?
そんな村本氏が開発したImagraphとは、目を閉じたままで映像を見ることができる装置で、大きく電光掲示板と光ファイバーで構成されているという。
長さ2mほど、深さ50cm程度だろうか。箱上のものの中に仰向けになって横たわる。そして頭部には、芸術品を創造させるような綺麗な光ファイバーの束が閉じられた眼の上、ちょうどまぶたの上に集められている。この光ファイバーからは、電光掲示板からの光が集められているという。この光ファイバーからの光が、まぶたを通じて、網膜へ投影され映像を見ることができるというのだ。
正直、目を閉じた状態でまぶたを通じてどのような映像を見ることができるかは不明だが、実際に体験したい、そんな気持ちにさせられる。
もし、まぶたを閉じた状態でも映像が見える、そんな未来が来たとしたらどのような世界になるだろうか。
いかがだっただろうか。村本剛毅氏は、これ以外にも興味深い取り組みを実施している。 例えば、「リアルタイムとスローモーションを共存させる」という研究。これもとても興味深い。
しかし、他の取り組みについては、また別の機会に紹介することにして、今回のImagraphのような取り組みを拝見していたら、大阪大学 石黒浩教授の「この新しい科学・技術の創成には、芸術や哲学が重要である。本来、芸術に再現性を持たせたのが技術であり、新しい技術は芸術的センスによって生まれる。そして、その芸術的活動を支えるのが哲学的考察である。」という言葉を回想してしまった。
このような天才と呼ばれる領域の人たちが想像する未来は、本当に興味深い。
参考文献