タイトルを見て、なんのことだろうと思われたかもしれない。実は牛のゲップは、メタンガスが含まれており、地球の気候変動に影響しているという。
そのため、牛のゲップ中のメタンを削減する、そんな研究が進められている。それはどんな研究なのだろうか、今回は、そんな話題について紹介したいと思う。
牛のゲップは、なぜやばい?
近年、地球の気候変動が問題になっている。その原因の1つとして温室効果ガスが挙げられている。
その温室効果ガスで、最も耳にするのは二酸化炭素ではないだろうか。他にもメタン、一酸化二窒素なども温室効果ガスに含まれる。
中でもメタンは、二酸化炭素の25倍もの温室効果があるガスで、牛のゲップに含まれている。そして驚くことに、世界の温室効果ガスの4%が、牛のゲップ由来だというのだ。
つまり、牛のゲップが地球温暖化に影響しているという事実がある。牛のゲップ中のメタンを削減する方法は、大きく以下の3つあるという。1つ目は、ゲップ中のメタンを下げることができる餌を開発すること、2つ目は、もともとゲップ中のメタンが少ない牛を探してその理由を研究すること、3つ目は餌のタイミングなどを最適化することだという。
牛のゲップのメタン削減は、地球温暖化と食糧危機を救う!
なぜ、牛のゲップからはメタンが発生するのだろうか。
牛が食べた餌は、第1胃というルーメンで微生物によって低級脂肪酸に転換される。そしてその低級脂肪酸が、エネルギー源となるという。その低級脂肪酸に転換される際に、ルーメンの微生物は発酵の産物としてメタンガスができる。そのメタンガスがゲップとして大気へと排出されるのだ。
そんな牛のゲップだが、ゲップ中のメタンを削減する研究が行われている。この研究をリードするのは、北海道大学の小林泰男教授だ。
小林教授のこの研究は、ムーンショット型農林水産研究開発事業にも採択されている。タイトルは「牛ルーメンマイクロバイオーム完全制御によるメタン80%削減に向けた新たな家畜生産システムの実現」。
では、どのような研究をするのだろうか。牛のルーメンの微生物群、つまり、マイクロバイオームの機能を最適化し、完全に制御するというのだ。
この事業では、牛からのメタンを最小化する個体別飼養管理システムの開発に挑戦するという。その個体別飼養管理システムでは、メタンを大幅に削減できる飼料、ルーメンマイクロバイオームを最適化してメタンガスの発生を最小化するプロバイオティクスなども新たに開発する。
さらに、ルーメン内をリアルタイムで計測できる新規デバイス(スマートピル)などを活用してデータを取得しAIで解析する。
この事業を通じて、2050年までに、牛のゲップ中のメタンを80%削減し、また、牛の乳肉生産効率を10%向上させるという。
では、牛の乳肉生産効率を向上させるとはどのようなことだろうか。このルーメン内での微生物の発酵として発生するメタンガスだが、メタンガスが出ていくということは、言い換えれば、餌のエネルギー損失となっている。
メタンを削減することは、牛が吸収するエネルギー効率を上げることにつながるため、餌の削減などにもつながるというわけだ。
いかがだっただろうか。小林教授は、百種類を超える天然由来の餌を試したという。その中に、カシューナッツ殻液に行き着いた。
結果としてカシューナッツ殻液は、牛のゲップおよび糞のメタンを低減することができたという。また、カシューナッツ殻液は、牛のルーメンのなかで病気を引き起こすと言われるグラム陽性菌を抑えるというのだ。
牛のゲップが、気候変動に寄与していることはご存知だったろうか。そして、ゲップが制御できることがとても新鮮で驚きがあったのは筆者だけだろうか。