シワの未来が見える方程式を開発！　コーセーが開発した数理モデルとは？

コーセーは、「コーセーのシワ研究」と題するサイトを公開している。サイト内には、現在の肌状態から、未来のシワを高精度に予測する方程式を開発し、それにより、5年後の肌のシワグレードを導き出し、シワケアの方法を検討できるようになった」とある。

筆者は科学的な視点で興味があるのだが、世の中の多くの女性は、きっと美容の視点で興味があるに違いないだろう。この背景には、世界初となる未来のシワを予測する数理モデルを開発したことが深く関係しているようだ。

今回は、そんなコーセーのシワ研究について紹介したいと思う。

コーセーのシワ研究とは？

コーセーは、化粧品を中心とした事業を展開している日本を代表する企業。高い付加価値化粧品であるハイプレステージの「DECORTÉ(コスメデコルテ)」、「INFINITY(インフィニティ)」やプレステージの「ONE By KOSE」、「LECHERI(ルシェリ)」など多数のブランドを取り扱っている。

コーセーは2021年2月25日^※1 、統計数理研究所の野間久史准 教授との共同研究により、年齢と肌の状態から将来のシワの状態を予測することができる世界初となる数理モデルを開発したと発表した。

では、具体的にはどのようなものだろうか？

コーセー研究所は、22才から60才のコーセー研究所に所属する日本人の女性48名の肌データを7年間にわたって毎年蓄積し、データベース化。

そのデータの内容は、目尻のシワの目視評価値(シワレベル)、肌の状態の指標となる6つの測定値(水分量、経皮水分蒸散量、皮脂量、肌色の明るさ、肌色の赤み、肌色の黄み)からなる。

このデータから、将来のシワを予測するためになんと8,192パターンものデータを組み合わせて研究したというから驚きだ。 そして、これらのデータから、年齢、肌色の明るさ、肌の赤み、皮脂量の4要素によって将来のシワレベルを予測することができることを突き止めたという。

• コーセーのシワ予測数理モデル(出典:コーセー)

コーセーでは、これら技術により、ひとりひとりの将来のシワレベルを高い精度で予測することが可能だという。さらにこの予測モデルから、皮脂量が多い人や肌が明るい人などは、将来シワが早く進行する可能性が高いということもわかったという。

顔写真から今、5年後、10年後を予想できるすごいWebサービス

コーセーは2021年10月11日^※2 、顔写真から5年後、10年後の未来のシワレベルを予測するWebサービスを開始するとプレスリリースで発表している。 このサービスは、もちろん、上述のシワ予測数理モデルを応用したものだ。

• 顔写真から“未来のシワレベルを予測”するWebサービス(出典:コーセー)

現在、インフィニティやONE By KOSE、ルシェリ、エスプリークといったブランドのデジタルカウンセリングツール「KOSÉ HADA mite」内のコンテンツ「未来のシワチェック」としてサービスが開始されているという。

このWebサービスにより、「今日」、「5年後」、「10年後」の3つの時間軸におけるシワレベルを0～7で予測し、予測と同じレベルのシワのイメージが表示されるという。

そして、将来のシワ発生リスクを6段階で分析。4つの肌タイプに分けて表示する。これらの結果に基づき、最適なお手入れ方法を顧客に提案し、販売促進につなげる狙いだ。

いかがだっただろうか。本連載では、化粧品、美容の分野に初めてフォーカスした。その理由は、数理モデルを使って高い精度で人の将来のシワレベルを予測できるという科学的な手法を紹介したいと考えたからだ。

ヒトの美に関する欲求は、正直なくなることはないだろう。そのため、今後もさらにテクノロジーを駆使することで、ヒトの美に関するさまざまな指標を科学的に分析、予想して、原因を突き止め、予防する、そんな未来の実現は、もっともっと発展していくのだろう。