インフラサンドをご存知だろうか。
人には聞こえない、聞こえにくい音。超低周波音だ。
実は、このインフラサウンドを活用して防災に役立てる取り組みがある。高知工科大学の山本真行教授によると、災害を引き起こす自然現象は、急激で巨大な変動であるため、インフラサウンドが発生。このインフラサウンドを計測することにより防災への活用が期待できるという。
今回は、そんな話題について紹介してみたいと思う。
インフラサウンド津波センサとは?
人には聞こえにくい超低周波音であるインフラサンドは、巨大な物体が動くと発生するという。
大きな物体であればあるほど、物体の圧力振動が原因となり、より一層低周波の音が発生する。そして、音は低周波であればあるほど、遠方まで伝わるという性質があり、遠方を計測するのに役立つ。
高知工科大学の山本真行教授は、計測器・音響機器メーカーであるサヤと共同でインフラサウンド津波センサを開発。
津波に特化したインフラサウンドセンサとしては世界初という。このセンサは、人工的な騒音や振動、気象現象による気圧の変動などを同時に測定することで、津波のインフラサウンドとそれ以外の現象に起因する音を区別することができる。
このインフラサウンドセンサのすごいところは、インフラサウンドがセンサに到達した瞬間に、その波形から津波発生時の海面変動の高さ、平均エネルギーを特定して、高い精度で「津波マグニチュード」を算出できる点だ。
山本真行教授は、津波のインフラサウンド観測網の構築を手がけている。
現在までに高知県内に15地点のインフラサウンド津波センサを設置。高知県以外にも北海道から九州まで15地点に同センサを設置して範囲を拡大している。
現在、全国に計30地点に同センサが整備されている。これらは、高知工科大学による観測網となっているが、全国でインフラサウンド観測を行う研究機関や大学が参画する「インフラサウンド研究コンソーシアム」が発足。これにより、国内の観測地点は約100地点にもなるという。
ロケットにも搭載されたインフラサウンドセンサ
このインフラサウンドセンサは、ロケットにも搭載されていた。その目的は、空気の少ない高層大気中の音の伝わり方を計測するためだ。
実は、堀江貴文氏が出資するインターステラテクノロジズのロケット、MOMO2号、3号にインフラサウンドセンサの小型版が搭載されている。MOMO3号機が、113.4kmの高度に到達したとき、インフラサウンドセンサによって成層圏上部から熱圏下部でのデータ取得に成功したという。
いかがだっただろうか。
音で津波を予測するという斬新なアイデアは興味深い。
日本は世界でも有数な地震発生地帯。今後も大きな地震が発生し、津波の被害も受けることもあり得るだろう。このインフラサウンド津波センサが、日本の人命、財産、そして世界を守ってくれる重要なインフラとなることを切に願う。