宇宙輸送機の市場はまさに群雄割拠。世界にはすでに100社以上の輸送機ベンチャーが始動しているという。これらのベンチャーの中には、ロケットの第1段ブースターの再利用、フェアリングの再利用、そしてさまざまなタイプの輸送機の機体、打ち上げ手法、3Dプリンタの活用などのユニークな取り組みを実施しているものもいる。
これらの取り組みの理由の1つは低コスト化。そして、このような取り組みの中で、1日に複数回宇宙へと輸送することが可能と公言する再利用型の輸送機を開発するベンチャーが存在する。それが、Dawn Aerospace。今回は、このDawn Aerospaceについて紹介したいと思う。
1日に複数回宇宙へ輸送できるDawn Aerospaceの輸送機とは?
Dawn Aerospaceは、オランダのデルフトやニュージーランドのクライストチャーチを拠点に活動している宇宙ベンチャーだ。
輸送機の開発以外にも、小型衛星用のスラスターの開発も手がけている。近年、ニュージーランドにおいて、輸送機の飛行に関する許可を取得。拠点をニュージーランドに移して活動しているという。
彼らの開発している輸送機は「Mk-Ⅱ Aurora」という有翼型の輸送機だ。Mk-Ⅱ Auroraは高度100kmあたりまで1日複数回の飛行が可能とのことだ。機体の長さは4.8m、離陸時の質量280kg、ドライ質量は75kgという。マッハ3の飛行速度、最高高度110km、搭載ペイロードは4kgまでという仕様だ。
機体の中央上面にハッチがあるのがわかるだろうか。3Uクラスの超小型衛星を搭載、輸送できるようだ。Mk-II Auroraは、ペイロードの輸送のみならず、大気圏、中間層の調査、無重力環境下の実験、地球を観測するリモートセインシングなどにも活用することが可能という。
また、Dawn AerospaceからMk-Ⅱ Auroraの紹介動画がアップされている。ぜひご覧いただきたい。
Mk-Ⅱ Auroraの飛行イメージは以下のようになっている。飛行機の滑走路であればどこからでも離着陸できるというメリットがある。そして最高到達高度110km、そして無重力環境を提供できる時間180秒というメリットも活かしたさまざまなサービスも提供できるようだ。
2021年7月28日から30日の3日間、Dawn Aerospace はMk-Ⅱ Aurora の5回のフライトテストを実施している。結果は、高度3400フィート、約1kmという結果であったというが、今後につながるさまざまなデータを取得できたようだ。
次世代の輸送機Mk-Ⅲとは?
Dawn Aerospaceは、次世代の輸送機Mk-Ⅲについても開発を進めている。機体の長さは18mとなるようだ。また、Mk-Ⅲの飛行イメージによると、Mk-Ⅲの機体には、もう1つ別の輸送機が搭載されているように見受けられる。高度100kmを超えたあたりで、別の輸送機は、分離してさらに高い高度へと上昇していく。そしてペイロードを所望の軌道へ投入するようだ。具体的にどのような輸送機となるのかとても興味深い。
いかがだっただろうか。今回は、Dawn AerospaceのMk-II Auroraについて紹介した。Dawn Aerospaceの動向から、他にもRocket Labに続き、ニュージーランドは、国をあげて民間の宇宙輸送機ビジネスに注力していること、そして今後、そして未来の宇宙輸送機がどのようなタイプに収斂されていくのかについて少なからずの気づきを得ることができたと思う。
Dawn Aerospace の1日に複数回宇宙へと行ける再利用型の輸送機について今後の動向に注目したい。