2023年2月8日、出光興産とブリヂストンは、空気の充填が不要な次世代タイヤ「エアフリーコンセプト」の実用化に向けた実証実験を開始すると発表した。では、この次世代タイヤとは、どのようなものだろうか。そして、どのような実証実験を実施するのだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。
ブリヂストンが開発する"空気不要"の次世代タイヤとは?
ブリヂストンは、空気の充填が不要な次世代のタイヤとして、2011年にエアフリーコンセプトの開発を発表した。"非空気入りタイヤ"と呼ばれた同製品は、タイヤ側面に特殊な形状の樹脂スポークを張り巡らせることで、車体の荷重を支える仕組み。そのため空気を溜め込む空間は備えていない。利用の際、樹脂スポークに車両の重量や衝撃が加わると、樹脂スポークが変形することで衝撃を吸収、あるいは反発し、従来の空気入りタイヤと同じ役割を果たすのだ。
では、このエアフリーコンセプトのメリットはなんだろうか。まず、空気の充填が不要であるため、空気圧管理などを削減できる省メンテナンス性が挙げられる。さらに、空気入りタイヤで起こりうる空気圧不足によるパンクやバーストなど、車両の走行に支障をきたすリスクを回避できる点も、重要なメリットだ。
また、路面に接するゴム部分のみを張り替えることでタイヤを再利用できる上に、独自開発したスポーク部分(接地するゴムとホイールをつなぎ荷重を支えつつ衝撃を吸収する部材)の樹脂がリサイクル可能であるため、資源の効率的な活用とサーキュラーエコノミーの実現に貢献できる点も強みだとしている。
出光興産が超小型EVでの実証実験を開始!
そして今回、ブリヂストンは出光興産と共に、エアフリーコンセプトを活用した車両レベルでの実証実験を開始すると発表した。具体的には、出光興産の千葉事業所で構内移動車両として運用される超小型EVに、エアフリーコンセプトを装備するという。
出光興産によると、同実証実験は、タイヤのパンクによる車両停止リスクの減少などの確認目的とするといい、将来的には同社が開発中の超小型EVへの装着を目指すとのことだ。
いかがだったろうか。ブリヂストンはこれまで、自転車用のエアフリーコンセプトも発表している。このように考えると、出光興産とブリヂストンの取り組みは、自転車やEVなどのCO2を排出しない車両について、さらにリサイクル可能でパンクしないタイヤを適用した、超環境配慮型の実証実験だと感じる。すごい取り組みだ。