アメリカの企業「カナリアスピーチ(Canary Speech)」は、声のバイオマーカーから患者の精神状態を評価するソリューション「Canary」を開発している。では、このテクノロジーとはいったいどのようなものだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。
声のさまざまな特徴から精神状態を評価する「Canary」
では、Canaryとはどのようなものだろうか。Amazon Alexaの神経学や音声AIに携わるチームによって開発されているというこの技術は、特許取得済みの音声分析技術を活用し、独自の機械学習アルゴリズムを使うことで、患者の声と疾患を結びつけることができるというものだ。この時、患者が発する声の高さやトーンの微妙な変化に加え、病気に罹患している患者の発話から示唆される症状も検出することができるという。
カナリアスピーチのサイトには、「うつ病・不安神経症・統合失調症・双極性障害の症状は、聴覚的および言語的特徴に表れる」といった記述がなされている。また、喘息やCovid-19といった呼吸器疾患と感染症などでは、呼吸や発話に見られる特徴的なマーカーがあるという。さらに、認知症やアルツハイマー病、神経変性疾患についても可能性も示唆してくれるというのだ。
これまで精神疾患などの患者については、診察で無言の時間になることが多い上、患者と医師の信頼関係を構築するために時間をかけたモニタリングを行う診断が多く、短期的かつ効果的な診断をすることが難しいという課題があった。
これらの課題を受けて、カナリアスピーチは、この音声で精神状態を評価できるソリューションを開発したという。ちなみに、Canaryで取得する音声は、診察時に限らずいつ発したものでもいい。スマートフォンにアプリをインストールし、対象の音声を記録すればいいのだ。
そこで取得した患者の声から数千のデータポイントを確認し、健康状態を正確にスクリーニングするとのこと。そして、患者のストレスや気分、エネルギーなどの状態を数値化する。その後は音声を継続的にモニタリングして経過を観察することで、その患者のデータが蓄積され、今後の健康状態まで予想できるという。
いかがだったろうか。声の情報によって精神状態を評価できるソリューションは、遠隔医療や在宅医療で活用することが期待される。ほかにも、ストレスが溜まりやすいビジネスシーンにおいては、企業が実施する定期的な健康診断に導入されても面白いかもしれない。