2023年1月4日、スタンフォード大学は、ダイエットによる減量の可能性や継続率を予測できるバイオマーカーを特定したと発表した。では、ダイエットの将来的な効果を予測できるバイオマーカーとはなんだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。

  • 長期的なダイエットの成功可能性や継続率を予測できるバイオマーカーが発見された

    長期的なダイエットの成功可能性や継続率を予測できるバイオマーカーが発見された(出典:スタンフォード大学)

ダイエットの効果を予測できるバイオマーカーとは?

大多数の人がダイエットをしたことがあるだろう。ダイエットは正直なところ、食事制限や運動などを行うので辛い。辛いことは長続きはしないので、強い精神力や意志がないとダイエットは成功しない、といった印象がある。しかし、そんな考えを覆す研究成果をスタンフォード大学が発表している。

どのような内容かというと、腸内に生息するバクテリアと体が作る特定のタンパク質の量が、長期的なダイエットの成功の鍵を担っているというのだ。言い換えれば、この腸内に生息するバクテリアと体が作る特定のタンパク質の量をバイオマーカーとして、ダイエットの成否を予測できるというのだ。

研究チームは、1年間蓄積したダイエットに関するデータを新たに分析。609名の被験者には、できるだけ加工食品を含まず品質が良い食品で構成された、低脂肪または低炭水化物の食事を食べてもらった。そして、彼らの運動量や消費カロリーなどを調査したのだ。その結果、まず短期的なダイエットは、炭水化物や脂肪を減らした食事を摂ることで実現することができるという。しかし、カロリーをカットしたり運動したりするだけでは、1年以上の長期間減量を続けるには不十分だったとのことだ。

彼らはその理由を調べるため、腸内微生物叢、あるいは人体によって作られるタンパク質に注目したという。すると、これらの物質がダイエット成功の可否に大きな影響を与えていることがわかったという。

  • 炭水化物や脂質を削減した食事が効果を発揮する短期的な減量とは異なり、長期的な減量では腸内細菌叢やタンパク質などが重要な役割を果たすことが明らかになった

    炭水化物や脂質を削減した食事が効果を発揮する短期的な減量とは異なり、長期的な減量では腸内細菌叢やタンパク質などが重要な役割を果たすことが明らかになった(出典:スタンフォード大学)

では、この腸内微生物叢やタンパク質を最適化するためにどうしたらいいのか。研究チームは詳しい内容について今後の研究課題だとしながらも、ダイエットに炭水化物の低い食事を取り入れる場合、肉からの油よりも、アボカドなどに由来する油を摂取すべきだとする。また、ビタミンK、ビタミンC、ビタミンEも重要で、野菜・ナッツ・オリーブの摂取が効果的だという。また、もう1つのダイエット食である低脂肪の食事を取り入れる場合では、全粒穀物や豆といった、食物繊維が多く砂糖を含まない食品を選ぶべきだという。こうすることで、ダイエットの長期的な成功へと導くバイオマーカーの観点で、メリットがもたらされるというのだ。

なお、この研究成果は2022年12月13日のCell Reports Medicine誌に掲載されている。

いかがだったろうか。ダイエットの成功に必要なものは強い精神力などではなく、腸内細菌叢やタンパク質の状態で成功へと導くことができるのだ。そして今後の研究の進捗によって、ダイエットの成功に向けて個人個人に最適な食事方法が導かれるのだと感じる。

スタンフォード大学のDalia Perelman博士は、今できるダイエットについて次のように述べている。 "If you pay attention to the quality of food in your diet, then you can forget about counting calories."(ダイエットの中で食品の質に注意を払っていれば、カロリーの記録など気にする必要は無くなる)