2023年1月13日、室蘭工業大学(室蘭工大)・マテック・深川硝子工芸は、ハイブリッド車のバッテリーをリサイクルして抽出したレアアースをガラスに混ぜ込むことで、光によって色が変わる工芸グラス「Re.Neo(リ・ネオ)」の販売を開始した。では、このRe.Neoとはどのようなものだろうか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。

  • 室蘭工大などが販売を開始したリサイクルネオジムグラス「Re.Neo」

    室蘭工大などが販売を開始したリサイクルネオジムグラス「Re.Neo」(出典:室蘭工業大学)

リサイクルネオジムグラス「Re.Neo」とは?

室蘭工大の希土類材料研究センターとマテックは、ハイブリッド車のバッテリーをリサイクルして抽出したレアアース(希土類)のネオジムを混ぜ込んだガラス工芸品のRe.Neoを商品化した。室蘭工大の希土類材料研究センターが研究を統括し、マテックがネオジムの抽出を、小樽市の深川硝子工芸がグラスの製品化を行った。

では、Re.Neoを詳しく紹介したい。まず、廃車となったハイブリッド車のニッケル水素電池を、マテックが工場で破砕し、ネオジムを抽出する。ネオジムはレアアースの一種で、非常に希少価値が高いという。その後に深川硝子工芸が、ネオジムをガラスに混ぜ込みRe.Neoを成型する。同製品の製造では、高温で溶かしたガラスを金属の棒で巻き取りながら成形する伝統技法が採用されている。

以下の写真をご覧いただきたい。同じRe.Neoでありながら、青色と紫色の2色になっているのがお分かりいただけるだろう。実はネオジムは、特定の光を吸収する性質を持つという。この性質を活かした同製品は、太陽光の下では紫色だが、蛍光灯の光を受けると一瞬で水色に変わるという。

  • 蛍光灯の光を受けた水色のRe.Neoと、太陽光の下で紫色になったRe.Neo

    蛍光灯の光を受けた水色のRe.Neoと、太陽光の下で紫色になったRe.Neo(出典:室蘭工業大学)

ちなみに、ネオジムグラスRe.Neoの色が変化する様子の動画も公開されているのでぜひご覧いただきたい。

光の種類が変わることで「Re.Neo」の色が変化する様子がこちら(出典:室蘭工業大学)

いかがだっただろうか。室蘭工大は、ハイブリッド車のバッテリーをリサイクルして付加価値の高い商品を作るこの取り組みは、アップサイクルの象徴的な例であり、世界でも類がないとしている。

ちなみにRe.Neoの販売価格は1万7600円(税込)で、マテックのECストア「MATEC PRODUCTS STORE」や帯広市の店舗で販売が行われている。また、室蘭工大のカフェ「TENTO」でも販売されるとのことだ。