2022年10月26日、日本の睡眠課題解消に取り組む仮想コミュニティ「ZAKONE(ザコネ)」に加盟するマッキャンアルファ・NTT東日本・NTT DXパートナーは、視聴しながら仮眠することでクリエイティビティが向上する仮眠ミュージックビデオ「カレ〜なる仮眠」の公開を発表した。では、なぜマッキャンアルファらはこのような取り組みを開始したのだろうか。また、この仮眠ミュージックビデオとはどのようなものなのか。今回は、こんな話題について紹介したいと思う。
クリエイティビティを向上させる仮眠ミュージックビデオとは?
マッキャンエリクソンの事業共創組織であるマッキャンアルファ、東日本電信電話(NTT東日本)、NTT DXパートナーは、睡眠不足などの課題解消を目指すさまざまな企業が、共同で睡眠改善に資する新規事業創出やサービス開発、イベント企画を行う仮想コミュニティ Sleep Network Hub「ZAKONE(ザコネ)」に加盟している。このZAKONEは、2022年9月3日にグランドオープンした。
そして10月26日、ZAKONEでの初めての共創施策として、視聴しながら仮眠から起床までを経ることでクリエイティビティを向上させる仮眠ミュージックビデオ「カレ〜なる仮眠」を公開したのだ。
このミュージックビデオのタイトルにはカレーが含まれているが、これは「寝かせることでコクが出て、起きる(食べる)と刺激を与えてくれる」ものであり、日本の食文化の1つでもある「カレー」に由来しているという。カレー同様に、このビデオを通して寝て起きることで、コク(クリエイティビティ)を感じてほしいとのことだ。
では、なぜ彼らは「カレ〜なる仮眠」を手がけたのだろうか。実は、2018年のOECDによる調査によると、日本人の睡眠時間は7時間22分で世界ワースト1位の短さだという。この睡眠の短さは、疾病リスクの向上・日中の眠気・生産性低下などの悪影響を及ぼしているのだ。
以下の図をご覧いただきたい。睡眠には、覚醒・レム睡眠・ノンレム睡眠の3つのステージがある。ノンレム睡眠を指すステージ3などは、睡眠が深く脳と体が完全に休んでいる状態。一方、ステージ1とステージ2は、体は眠っているものの脳は起きている浅い睡眠状態にあるという。この浅い睡眠の状態を「仮眠」という。仮眠は、適切な方法で取得することにより、睡眠不足の解消や脳内情報の整理・記憶に役立ち、生産性の向上に加えてモチベーションアップやクリエイティビティ向上につながるとのこと。
ちなみに、仮眠の推奨取得時間は20分程度だという。逆に仮眠を長時間続けてしまうと、深い睡眠のステージに移行してしまい、起床時のパフォーマンス低下や夜の睡眠への悪影響を及ぼしてしまうのだ。
仮眠ミュージックビデオ「カレ〜なる仮眠」はどのようなものなのか。実際にYouTube上で公開されている動画を、ぜひご覧いただきたい。
入眠に繋がるリラックスしやすい音楽を取り入れた"仮眠パート"と、目覚めにつながる覚醒しやすい音楽を活用した "クリエイティビティ覚醒パート"の2部構成で、合計約30分の動画だ。さらに、仮眠時はやさしく、起床時は刺激的で脳を活性化させるアニメーションも取り入れられている。特に、25分過ぎあたりからのアニメーションはとても面白く、脳が目覚め、活性化する印象がある。
実際に、この仮眠ミュージックビデオを視聴しながら仮眠をとり、国際学会でも採択されているDX推進などのクリエイティビティ向上に必要な力を客観的に評価するデザイン思考テストを受験してもらう実験を行ったところ、期間中に複数回上記フローを行った参加者の60%が初回テスト受験時からスコアを上昇させ、さらにそのうち50%がスコアランクを1段階以上上昇させたという。
いかがだっただろうか。これは、睡眠を科学的にコントロールする未来に向けた興味深い取り組みだ。睡眠はヒトの生活、概して人生においてとても重要なもので、睡眠不足や睡眠障害に悩む多くの人の解決策につながる施策を、数多く手がけてほしいと強く感じる。マッキャンエリクソンらは、この仮眠ミュージックビデオ「カレ〜なる仮眠」以外にも今後多数の睡眠における課題を解決する施策を手がけていくとしている。とても楽しみだ。