2022年10月5日、養豚支援システムの共同開発を行う日本ハム、NTTデータ、NTTデータSBCの3社は、そのシステム第1弾として豚のAI発情検出システム「PIG LABO Breeding Master」のテスト販売を開始し、参画農場を募集するとプレスリリースで発表した。今回は、豚のAI発情検出システムはどのようなものなのか、どのようなメリットがあるのか、そんな話題について紹介したいと思う。

  • 日本ハムとNTTデータグループがテスト販売を開始する豚のAI発情検出システムが養豚の現場にもたらすメリットに迫る

    日本ハムとNTTデータグループがテスト販売を開始する豚のAI発情検出システムが養豚の現場にもたらすメリットに迫る

日本ハムとNTTデータグループが手掛ける豚のAI発情検出システムとは?

豚のAI発情検出システムPIG LABO Breeding Masterとは、一体どのようなものだろうか。

同システムでは、豚舎に複数のカメラを設置し、その映像から母豚の種付け適正時期を意味する発情をAIにより検知。従来は熟練した飼育作業員による長時間の観察が必要だった発情判定を、AIによって効率的かつ高精度に判定することができ、高い生産レベルを安定的に維持することが可能となるのだ。実際に、PIG LABO Breeding Masterの実証試験では、受胎率が1.4%改善に成功。さらに、人による判定作業が79%削減できるなど、労務削減効果も確認できたという。

  • PIG LABO Breeding Masterのシステム概要

    PIG LABO Breeding Masterのシステム概要(出典:日本ハム)

実は、日本ハムとNTTデータのこの取り組みは、養豚支援システム「PIG LABO」の全体工程の一部だという。このPIG LABOは、母豚の繁殖から仔豚の育成、出荷までの全ステージにおける飼育作業を、デジタル技術を活用してサポートするもの。今回は、その交配・妊娠の工程に対するサービスなのだ。

  • PIG LABOの全体概要

    PIG LABOの全体概要(出典:NTTデータ)

いかがだったろうか。日本では、豚肉の消費の約半分を輸入に頼っている。また、畜産農家の数は1980年以降減少し続けていて、1戸あたりの飼養頭数が増加している。さらには、養豚の熟練した技術と経験を持つ養豚従事者が高齢化し、飼育技術の継承という課題もある。PIG LABOは、これらの課題を解決すべく開発された素晴らしい取り組みだ。