ceEntekは、これまでの常識を打ち破る新しい超高機能コンクリートを開発。2022年9月21日には、リアルテックグローバルファンドから出資を受けたというプレスリリースも報じられた。では、このceEntekが開発した新しい超高機能コンクリートとは、どのようなものなのだろうか。今回は、そんな話題について紹介したいと思う。
ceEntekの超高機能コンクリートとは?
ceEntekは、2010年1月に設立されたシンガポールを拠点とする企業だ。同社は開発した超高機能コンクリートを利用し、世界中の高強度建設アプリケーションの効率、持続可能性、および耐久性を向上させることで、永続的な未来を構築することを会社のビジョンに掲げている。
では、彼らはなぜ、この高機能コンクリートを手がけているのだろうか。
その理由のひとつは、世界中におけるインフラの老朽化進行にあるという。ceEntekによると、米国では今後40年間で約230万m2のインフラの再構築が必要と言われ、インフラ分野に10億ドル、道路や橋に1100億ドルの投資が決定しているという。もちろん日本も似通った状況で、高度経済成長期の時代に整備された道路・橋・トンネル・下水道などは、今後20年間のうちに建設から50年以上が経過することになり、その老朽化への対策が急務となるだろう。
もうひとつの理由は、建築現場におけるCO2排出の問題だ。コンクリートのライフサイクル全体において排出される温室効果ガスは、世界の温室効果ガス排出量の8%をも占めると言われており、実にプラスチックの約30倍の規模にもなるのだ。
そこでこの課題に目をつけたのが、ceEntekだ。同社は、独自のカーボンナノファイバー(CNF)ペーストを開発。通常は水に混ざりにくい特性を持つCNFに親水性を持たせ、砂・セメント・水などの材料と調合することが可能にした。また、セメントの隙間を均一に埋めることで、コンクリートに強度と柔軟性を持たせることも可能になるという。
ceEntekが開発したCNFペーストと廃ガラス(GGBS)を用いることで、従来のコンクリートに使われていた環境負荷の高いシリカフュームを使用せずとも、セメントの含有量を30%未満に低減した超高機能コンクリート「UHPC2.0」が生成できるという。このUHPC2.0は品質試験においても、強度・弾性・吸水性・耐久性などの項目で、既存のコンクリートを超える結果を示したという。
いかがだったろうか。このceEntekが開発した超高機能コンクリートは、優れた強度・耐久性を持ち、セメント量や骨材量の削減、建設時間の短縮や構造物の長寿命化を実現することができるだろう。とても明るい未来を創造する素晴らしい技術だ。