2022年9月、福井県立大学は、国内初となる恐竜学部(仮称)を設置すると発表した。恐竜学部という名称はまだ未決定のようだが、2025年4月に設置されるようだ。では、この恐竜学部ではどのようなことが学べるのだろうか。今回は、そんな話題について紹介したいと思う。

「恐竜王国」福井に国内初の恐竜学部設置へ

今回発表された恐竜学部については、正式名称や学部で学べることはまだ決定しておらず、変更の可能性もあるというが、とてもワクワクする話題だ。この恐竜学部は2025年4月の設置を目指しているという。

福井といえば、恐竜を思い浮かべる方も多いだろう。日本で見つかっている恐竜化石の8割近くは福井県で見つかっているからだ。福井駅には恐竜のロボットもあるし、県内には福井県立恐竜博物館だってある。恐竜王国なんていう呼び名もあるくらいだ。

福井県立大学によると、予定も含めて現時点でわかっていることとして、学部の名称は「恐竜学部 恐竜・地質学科」(仮称)で、恐竜・古生物コースと地質・古環境コースが設置される予定だという。定員は30名と、とても狭き門だ。1年次は永平寺キャンパスで学び、2年次以降は学部本拠地となる勝山キャンパスに移るという。

恐竜学部で学べることとして、福井県という最高の環境を生かして、化石発掘、クリーニング、レプリカ標本作成、標本展示、古生物3Dモデル作成などが予定されている。これらは一例だが、本格的な恐竜学や地質・古気象学を学べる環境が整っているのだ。

  • 福井県立大学恐竜学部の紹介パンフレット

    福井県立大学恐竜学部の紹介パンフレット(出典:福井県立大学恐竜学研究所)

恐竜学というとてもニッチでユニークな学問が故に少し心配なのは、卒業後の進路だろう。しかし、そこはしっかりとしている印象がある。

進路の1つには、大学や研究機関などの研究者、博物館の学芸員、理科の教員が考えられる。2つ目はデジタル関連分野だ。IT関連や土質力学、道路測量に関する地質系のデジタル関連企業への就職が想定される。3つ目は観光・メディア分野。ジオパークなどの自然施設やツアーガイドなどの観光業、出版業、報道関係だ。そして4つ目は、地質関連分野だ。地質・土木・建築系コンサルタントや土木系の公務員、ゼネコンの建設産業や環境アセスメント関連への就職も可能のようだ。

  • 恐竜化石発掘や地質調査などのフィールドワークの一例

    恐竜化石発掘や地質調査などのフィールドワークの一例(出典:福井県立大学)

いかがだったろうか。現在、国内で恐竜について専門的に学べる学部は国立大学に集中しており、理学部の地球科学系で学ぶことが可能だという。しかし、福井県立大学の恐竜学部(仮称)は、県立恐竜博物館も立地する福井県という恐竜学に適した現場で行う充実したフィールド学習、CTスキャンやVRなどの最先端デジタル技術を活用した研究の導入などを通して国際色豊かな教育研究を実施していくことで、オンリーワン、ナンバーワンを目指していくという。志願者が多く人気の高い学部になることは、間違い無いだろう。