Ubenwaは、赤ちゃんの泣き声から医療における緊急に対処すべき異常を検知することができるAIを開発している。
このAIツールは、もちろん医療現場での想定シーンが多いと考えられるが、医療研究や自宅での使用も可能だという。
では、この赤ちゃんの泣き声から健康上の異常を検知できるAIとはどのようなものだろうか、今回はそんな話題について紹介したいと思う。
赤ちゃんの泣き声から健康上の異常を検知できるAIツールとは?
Ubenwaとは、カナダのモントリオールを拠点に活動している企業。ナイジェリアにも拠点があり現地の医療機関と連携し、研究も盛んだ。経営陣には音声AIや新生児のバイオメディカルのエキスパートが揃っている。
ではUbenwaが、赤ちゃんの泣き声から健康上の異常を検出できるAIツールを開発した経緯はなんだろうか。
それは、新生児や乳児が泣く理由に不確定性があり、判定が容易でないということにある。
赤ちゃんは、空腹、疲労、眠気、何らかの痛み、不安、不満などで泣いているだろうと医療機関も親も推定しながら対処しているのが実情だろう。経験則などからその推定、判定が正しいかもしれないが、健康上の異常など緊急を要することもありうる。そのような課題感から、Ubenwaは、赤ちゃんの泣き声から健康上の異常を検出できるAIツールの開発を進めている。
まずUbenwaは、赤ちゃんの泣き声のデータベースを構築。それらの音声を分析。音声信号を処理し、機械学習アルゴリズムを活用して、異常を示す音声上のバイオマーカーと健康上の異常を予測できるアルゴリズムの開発を進めているのだ。
これまでにUbenwaは、AIとスマートフォンマイクを活用して、新生児の呼吸不全を検出したり、出生時仮死をスクリーニングしたり、検出後に迅速かつ適切な医療処置を施す確率を高めている。
そして、このAIツールの利用は、医療機関だけにとどまらない。
自宅にいながらスマートフォンを活用して赤ちゃんの泣き声からその理由を判断できるというソリューションもアプリで提供しているのだ。
このAIツールは、赤ちゃんの健康上の異常を迅速に検出できるため、新生児死亡率の低下やその原因による身体障害・後遺症の減少などに大きく寄与できるだろう。
そして、何と言ってもスマートフォンのアプリで判断できるという手軽さが大きい。自宅においても安心して赤ちゃんをケアできるため、両親にとっても嬉しいツールとなるだろう。