ナンバーワンソリューションズは2022年6月10日、Non-Fungible Token(非代替性トークン)などのNFTの既存の課題を解決することができる新しいブロックチェーン「SYNCHAIN」のアルファ版を開発したと発表した。

では、この新ブロックチェーン「SYNCHAIN」のアルファ版とはどのようなものなのか、今回はそんな話題について触れたいと思う。

ブロックチェーン「SYNCHAIN」(α版)とは?

NFT市場は、急速な成長を遂げている。具体的に2021年の取引額は、おおよそ2兆円規模だ。今後もさらなる成長が見込まれていると言う。

しかし、その急成長とは裏腹に、NFTの課題が多くあり、いまだ解決されぬままの状態であるというのだ。

では、そのNFTの課題とはなんだろうか。1つ目は、NFTの購入者は秘密鍵だけでNFTを管理していて、必ずしもデジタルデータを保有しているわけではないと言う点だ。

本来、NFTは唯一無二の価値が確保されているトークンなのだが、実はトークンの中身は、IDとメタデータのURLのみ。つまり、NFTマーケットプレイスがクローズしたり、デジタルデータがすり替わったり、NFTの価値が消失するリスクがあるのだ。

2つ目は、NFT発行元もデータが唯一無二のものであることを担保していないという現実があること。これは、NFTのデジタルデータが重複していない、証明がなされていないということに等しい。

3つ目は、オンチェーンNFTの管理が難しいこと。オンチェーンNFTは、発行コストが高く、運用保守費用が高くなる。増え続ける膨大なデータ量を永久的に維持・管理することは現実的でないのだ。

そして4つ目は、ハッキングのリスク。例えば、最大手NFTマーケットプレイス「OpenSea」において、2022年2月19日に大規模なフィッシング詐欺が発生。NFT254個、総額2億円相当が盗まれる事件が発生してしまったという。

そこで、ナンバーワンソリューションズは、上記の課題を解決すべく新しい規格のブロックチェーン「SYNCHAIN」のアルファ版を開発した。

NFTをIDの数値データと画像や動画などのデジタルコンテンツと定義したとき、利用者のブラウザ側にコンテンツそのものを手元に保管することで、紛失防止および耐改ざん性の向上に寄与できる。

また、NFTの状態を説明するメタデータ(会社・製作者・タイトル・作成日・出展元・報酬マージンなど)をデジタルコンテンツにも記載するブロックチェーン透かし機能を実装したり、分散型ストレージを安全かつ効率的に併用しブロックチェーンノードを構成したりすることで、サーバー費用を抑え、低コストでブロックチェーンのアプリケーションを開発することができる。

また、「無限に時間をかけても破られない暗号技術」(情報理論的安全性)で構築し、さらに、SYNCHAINの通信方式は、鍵配送をしない暗号通信により、中間者攻撃を防ぐことが可能なのだ。

  • ナンバーワンソリューションズが開発したブロックチェーン「SYNCHAIN」

    ナンバーワンソリューションズが開発したブロックチェーン「SYNCHAIN」(出典:ナンバーワンソリューションズ)

いかがだっただろうか。ほかにも、SYNCHAINはデータをファイルごとに分散管理をする台帳方式を採用し、遅延のない高速なトランザクション処理も実現しているという。

ナンバーワンソリューションズは、今後も安全、低コスト、持続性で汎用性の高いさまざまな市場へとこのSYNCHAINを含めた新しいブロックチェーン技術を展開していくのだろう。