「ホロポーテーション」というテクノロジーを使って、地球上の医師らと国際宇宙ステーション(ISS)にいる宇宙飛行士らがあたかも目の前にいるかのように3D映像で映し出され、お互いに会っているかのように会話することができた、そんなニュースが流れた。
ホロポーテーションとはよくSFのシーンで出てくる夢のようなテクノロジー。
では、ホロポーテーションとはどのようなものなのか、ホロポーテーションを使うことで何ができるようになるのか、今回はそんな話題について触れたいと思う。
ホロポーテーションを利用した宇宙遠隔医療とは?
ホロポーテーションをご存知だろうか。ホロポーテーションとは、英語表記で「Horoportation」。現実に遠隔地に存在するものや人をリアルタイムで目の前に3D映像で映し出すことができるテクノロジーだ。これはマイクロソフトが開発した技術だという。
このテクノロジーは、コロナ禍も追い風になり、近年盛り上がりを見せている印象がある。例えば、韓国では、サムスンがホロポーテーションなどを手がけるスタートアップ、DoubleMeに2500万ドルを出資したという報道がある。
さて、このホロポーテーションだが、宇宙分野でも話題に上がっている。アメリカ航空宇宙局(NASA)はISSにおいて、複合現実を用いたソリューションを提供する企業のAEXA Aerospaceが開発したソフトウェアとMicrosoftの「Hololens」カメラを使用して、ホロポーテーションを実現させた。
3D投影されたのはNASAのフライトサージャン(航空宇宙医師)のJosef Schmid医師と、AEXA AerospaceのCEO、FernandoDeLa Pena Llaca氏らだ。
本来地球上にいるJosef Schmid医師らとISS内の宇宙飛行士が、お互いに離れた場所にいるにもかかわらず、まるで会っているかのように、双方向で通信し会話を楽しんだという。
実は、このホロポーテーションというテクノロジーは、宇宙における遠隔医療に利用できないかという点で検討されている。
Josef Schmid医師は次のように述べている。 「We'll use this for our private medical conferences, private psychiatric conferences, private family conferences and to bring VIPs onto the space station to visit with astronauts.」(医療関係者の個人面談、精神科医の個人面談、家族の個人面談、宇宙飛行士と面会するためにVIPを宇宙ステーションに連れてくるなどといった用途に使用されるだろう)
今回は、ホロポーテーションによる3D映像の投影と双方向通信に成功した。そして次のステップは、ホロポーテーションと拡張現実を組み合わせて、真のテレメンタリング(直接対面しないコミュニケーション)を可能にすることだという。
いかがだっただろうか。ホロポーテーションは、このように宇宙と地球などの遠隔地を結ぶとても魅力的なテクノロジーだ。
将来、会議用の資料も3D化して、大勢でサークルを作り、3D映像を見ながら確認したり、遠隔地から音楽ライブをしたり、教科書やテキストが紙やタブレットではなく、中に映像として浮いた状態で勉強するなどさまざまなことが考えられる。
SFの世界もそう遠くない印象だ。