2022年2月25日、JR西日本はAI券売機の実証実験を行う、そんなプレスリリースを発表した。

場所は、京都駅西口のみどりの窓口内に設置された券売機だという。

JR西日本は、なぜこのようなAI券売機という先進的な取り組みを開始しているのだろうか。その理由と、AI券売機とはどのようなものなのか、どのような実証実験を行うのか、今回はそんな話題について紹介したいと思う。

JR西日本が行うAI券売機の実証実験とは?

JR西日本が実証実験を行うと発表したAI券売機は、従来の券売機にAI機能を搭載したもので、画面に投影されるキャラクターと対話したり、音声による操作によってきっぷを購入したりすることができる券売機だという。

まず、キャラクターに扮したAIがきっぷを購入しにきた方に「いらっしゃいませ。どちらまで行かれますか」と音声で聞いてくるので、AI券売機に向かって、行き先の駅名を声に出すだけで、AI券売機が音声を認識して自動で駅名を入力してくれるという。

この券売機に搭載されたAIは鉄道情報システムが開発したとのことだ。

実証実験は、2022年2月26日(土)から3月10日(木)の6:30から21:00の間で行われる予定で、京都駅西口のみどりの窓口内に1台だけAI発券機が設置されるという。興味があるかたは、ぜひこのAI券売機で購入してみてはいかがだろうか。

  • JR西日本のAI券売機

    JR西日本のAI券売機(出典:JR西日本)

JR西日本が掲げる20年後の技術ビジョン

JR西日本は、下の図のような技術ビジョンを発表している。20年後に目指すべき姿が描かれているのだ。2018年3月に公表したものということで4年ほど経過しているが、とても新鮮さと近未来を感じる。

  • JR西日本の技術ビジョン

    JR西日本の技術ビジョン(出典:JR西日本)

技術ビジョンには、「さらなる安全と安定輸送の追求」、「魅力的なエリア創出の一翼を担う鉄道・交通サービスの提供」、「持続可能な鉄道・交通システムの構築」の3つのありたい姿が策定されている。

今回のAI券売機のプレスリリースは、この技術ビジョンの「魅力的なエリア創出の一翼を担う鉄道・交通サービスの提供」に該当する取り組みだと推測できる。

ほかにも例えば、2020年8月には、視覚障がい者向けのナビゲーションシステム「shikAI(シカイ)」の実証実験、そして、2020年9月に大阪駅にて実証実験中の「AI駅案内ロボット」が、完全非接触で一連の案内ができるようになったニュースもあり、JR西日本は多くの先進的な取り組みを実施しているのだ。

いかがだっただろうか。JR西日本の技術ビジョンに関する取り組みのスピード感や実行力に驚くのはわたしだけだろうか。また、JR西日本は、2023年春開業予定の「(仮称)うめきた(大阪)地下駅」では、技術ビジョンの具体化に挑戦するという。

未来は、とても安心安全で利便性が高い興味深い鉄道システムになることだろう。とても楽しみだ。