昨年末からネットで注目されているサービスといえば、定価の半額以下のクーポンが購入できるクーポン共同購入サイトだ。グルーポンを筆頭に今や何十もの同種のサービスが営業している。
この正月にネット住民を驚愕させたニュースといえば、このクーポンサービスを利用して定価の半額で注文したおせちが、商品見本とは大違いのすっかすかの中身だったという「グルーポンおせち事件」である。私は8Pチーズがころんと転がっている写真を見て物悲しくなった。こんなおせちが届いた家庭はさぞビックリしたことだろう。
今回の事件から、安いものにはそれなりの理由がやはりあるものだなと再確認した人も多いと思う。おせちはやはりデパートから買わないとね、とか。
クーポン共同購入サイトではレストランのコース料理が多く販売されているが、これはお買い得なのか気になる人も多いだろう。
そこで今回は私が自腹で利用してみたクーポンについてレポートしたいと思う。
私は根っからのクーポン好きで、この前も某天丼屋チェーンに雨の日に来店するともらえるクーポンを5枚集めて念願の天丼をタダで食べた後、某ファストフードでこれまた最近ではあらゆるところで目にするコーヒー1杯分のクーポンでお茶をするというフリーなランチを満喫したところだ。
そんな私が話題のクーポン共同購入サイトにはまったのが昨年の11月。最初にそのクーポンの数々を見たとき、「これはすごい! なぜこんなに安くできるのか!?」と思い、次々にクーポンを購入したものだ。バーゲンセールに目がない女性がと同じような心境といったところか。「通常価格の半分」とか聞くと、もう、いてもたってもいられない。
今回はその中から実際に3つのレストランに行ってみたのでその体験を紹介する。なお、利用したクーポン共同購入サイトは複数である。
その1 トルコ料理の量の多さにノックアウト
まずはトルコ料理店。料理の内容はコース料理5,250円にドリンク1杯がついて5,670円のところが、何と64%引きの2,000円! これはお得!!
このコースはお店のホームページによると正式なコースとして載っていて、わりとボリュームのあるコースのようだった。
料理はまずはペースト状のものが出た後、トルコのパン。このパンが結構大きい。春巻きが出た後、サラダ。このサラダの量がハンパなかった。大皿にドカンとレタスが丸ごとおいてある。すでにここでほぼ満腹に。この後に卵とトマトの料理。これはするりとお腹に入ったものの、ついにラスボスのケバブがやってきた!
もはや長い刀に刺さった肉に対して一片の食欲も沸かない状態。最近、ご飯も小盛りにしているのであまり多くは食べられなくなっている。子供のころから食事は残さず食べるようしつけられてきたので、ケバブを残すなどあってはならないと、必死になって肉と戦う。付け合せにサラダとごはんが控えているし。何とか肉だけは食べ終えた。締めは紅茶とデザートのライスプディング。
良く頑張った、俺。2番目の大きなサラダがなければケバブを堪能できたのに。こんなに量が多いとは思わなかった。
しかし、クーポン共同購入サイトってすごいかも……と思わされた夜だった。
その2 美食コースは量も控えめ!?
2番目のお店は都内の某ダイニング。海の幸、山の幸ありの美食コース4,700円が50%引きの2,350円。これもお得よのう。ただし飲み物は別。
料理が次々に出てくる。それぞれはたしかに美味しい。しかしあっという間にご飯モノが。あれ、もう終わりですか? 前菜が続くなあとは思ってたけど、もしかしてさっきの和牛の石焼き(ひとかけ)がメインかい?
そう、圧倒的に量が少ないのです(美食コースだからだろうか)。まあ懐石料理っぽいといえなくもない。あのトルコ料理店の後なので落差が大きかっただけなのか。しかしとにかく空腹なので、追加で料理を注文した。これって……お店の戦略?
今回の美食コース、お店のホームページには載っておらず、クーポン専用のコースのようだ。
その3 "上海ガニ"の衝撃
3つ目は中華料理。今回はがっつりと上海ガニを堪能する予定。クーポンのお値段のほうは通常価格6,000円が3,000円。やほーい。
まずは前菜盛り合わせ6種が出てきてこれは美味しい。次に早速上海ガニの姿蒸しですよ。
!!!!!!!
せいろの上にそれはそれは小さな蟹がポツンとひとつ。こ、これが上海ガニ? な、なんか小さいんですけど~
あまりの小ささにとまどっているのを察したのか、お店の人が「今は上海ガニが入荷していないので、沢ガニをお出ししております」……
とりあえず専用の器具を使って食べ始める。
労多くして身少なし、とはこのことだろう。もともと小さいので蟹を食べている気がしなーいのだ。あぁ、トルコ料理が懐かしい。
蟹の後、二品とデザートでコース終了。お腹はまだ空いたまま。
そこへすかさずメニューを渡すお店の人。こちらが空腹なのはすっかりお見通しのようだ。麺類を頼んだら、かなりのボリュームでやっと満足。
今回のコースはクーポン特別コースだった。あれで通常6,000円はかなーり疑問。前菜も追加注文した麺も、料理自体の味は良いのだが。
情弱教訓: "クーポン専用コース"には気をつけるべし
以上、今回3つのレストランでクーポンを使ったわけだが、身銭を切って得られた教訓は「どうも"クーポン専用コース"は注意が必要」ということだ。
まさかこんなことはないと信じたいが、クーポン用に利益が出る商品になっているかもしれない。スーパーの特価品が実は特価価格で利益が出るようにもともと作られているという話も聞く。これと同じ構図がクーポンでも行われていないことを信じたい。
その点、トルコ料理の店は元々存在するコース料理がクーポンの対象となっており、良心的だったといえる。
後の2つの店についてはどちらも、クーポン用の特別メニューだったので、どうも怪しさがぷんぷんと漂ってくるのだが、まあ、腐ったものが出てきたわけでもないし、いい勉強になりましたよ、と自分を納得させている。
手元にはまだ未使用のクーポンがたんまりとある。いったん買ったものは返品できないしくみなので行くしかないのだが、どんな料理が出てくるか(あらゆる意味で)楽しみにしている。