Windows 7の魅力は"軽快&快適"
いよいよWindows 7の発売が間近に迫った。
秋葉原などの一部の販売店では、10月22日0時からDSP版の発売を予定しているため、明日の深夜には発売という言い方もできる。自宅に帰る終電が遅い時間まである人は、明日の夜は、残業や飲んだあとに、アキバに寄って、Windows 7を購入して帰るということもできるというわけだ。
これまでにも数多くの記事で、Windows 7が紹介されているが、Windows 7の最大の特徴をひとつあげるとすれば、それは操作性の軽さ、快適性だといえよう。
マイクロソフトでは、「できること、簡単に。」「やりたいこと、軽快に。」「新しいこと、目の前に。」という3つのメッセージを掲げてWindows 7の特徴を説明するが、前半2つのメッセージで表現されているのは、Windows 7で提供される新たな機能ではなく、既存のOSであるWindows Vistaにはなかった軽快感や快適さを実現するというものだ。
起動やシャットダウンが高速化していることや、Windows XPが動作するスペックのPCでも、安定した稼働ができるといった点がWindows 7の特徴となっており、PCを使っているユーザーならば多くの人が課題と思う点に改善を図っている。
実際、CEATEC JAPAN 2009の次世代コンピューティングパビリオンに展示されたWindows 7搭載PCに触れた来場者の間からは、ATOM搭載、メモリ1GBのPCで、Windows 7が快適に動作するシーンを見て、Windows XPから移行することを決めたという声が何人かも聞かれていたという。
マイクロソフトでは、3年前のPCではWindows 7が快適に動作するというが、プレゼンテーションなどでは、5年以上前のPCでもWindows 7を動作させてみせている。
Vistaでは何がダメだったのか
そして、Windows Vistaでは問題となっていた互換性に対しても積極的に改善を図っている。
マイクロソフト コマーシャルWindows本部 中川哲本部長によると、10月19日時点の互換性対応状況は、周辺機器では50社/4,141製品。ソフトウェアでは163社/1622製品の製品がWindows 7に対応しているとする。「80%以上を大きく超える企業が対応しており、現在、利用されているほとんどのソフトウェア、周辺機器がWindows 7対応になっているといっていい。これはWindows Vista発売時の対応製品数に比べて、2.5倍の規模に達している」
だが、実は、Windows Vistaの発売の際にも互換性には万全であるとしていた。ところが、発売直後からiTunesやAcrobat Readerといった主要ソフトが動作しないことが明らかになり、互換性問題が浮上。その後のWindows Vistaの売れ行きに歯止めをかけたという苦い経験があるだけに、万が一、主要ソフトが動作しないなどの問題が発生した場合にも、迅速に対応することが求められよう。
課題は企業ユーザのXPからの移行促進
一方、企業向けに関しては、9月1日からすでにボリュームライセンス販売が開始されており、Windows 7を今後半年以内に導入するとした早期採用表明企業は、すでに163社に達しているという。採用表明企業のなかには、アステラス製薬、名古屋銀行、ヤマト運輸などの大手企業の名前があり、幅広い業種での導入が決定しているようだ。Windows Vistaの際の早期採用表明企業は18社だったことに比べると、約9倍という数は、まさにWindows 7の出足の良さを証明するには十分だ。
マイクロソフトでは、2010年末までに日本国内で1,000万本のWindows 7が導入されるとしたほか、国内の大企業の60%が3年以内にWindows 7の展開を行うとも見方を示している。だが、ここにも懸念材料がある。
というのも、163社の多くは、すでにWindows Vistaを導入していたり、Windows Vistaの導入に向けて検討を開始していた企業がほとんどだからだ。
Windows Vistaを導入していた企業がWindows 7に移行するという点では敷居が低い。Windows Vista導入企業や、Windows Vistaの導入に向けて検証を行っていた企業にとっては、移行しやすく、メリットも享受しやすいといえる。その点では、早期採用表明企業の163社というのは、大きな数字ではあるものの、視点を変えて見る必要があるのは確かだろう。
マイクロソフトにとっては、163社の早期採用表明企業の実績はともかく、今後、Windows XP導入企業に対する移行メリットなどの訴求を、より活性化していく必要がある。まだこの点では、手つかずという状況であるのが実態だ。
マイクロソフトにとっては、Windows XP導入企業に対する具体的施策の提案が求められているが、そのためには、まずは、コンシューマユーザーから高い評価を得ることが早道となるのは間違いない。