本連載は、簡単かつ即効性のある、ITを用いてビジネスの効率を上げるための方法を紹介している。4回目のテーマは文書作成のキモである「タッチタイピング」だ。毎日毎日、業務でタイピングを行ってはいるけれども、タッチタイピングとなると自信がない方もおられるのではないだろうか?
ITを活用するうえで、避けては通れないのが文字の入力だ。ビジネス文書を作成するにしても、電子メールを送信するにしても、文字を入力しなくては始まらない。文書を単なる清書として用いるならタイピングの速い人に頼めばいいが、IT時代の現在、企業では自分の頭で考えたことを自分で入力することが求められている。業務を遂行するために、文字入力は大変重要なことなのだ。
基本はタッチタイピング
文字入力といってすぐに頭に浮かぶのがタッチタイピング(ブラインドタッチとも言う)、キーボードを見ないで画面に向かいながら文字を入力する方法だろう。
タッチタイピングのメリットとしては、キーボードをいちいち見ながらのタイピングよりも文字入力のスピードが速いということが挙げられる。しかし、重要なメリットがもう1つある。
それは、キーボードを見る必要がなくなるため、画面で入力している文字を見ながら文章内容を考えられるということだ。タッチタイピングができない場合、文書作成の際に次のような手順を踏んでいる。
文章を考える → キーボードを見ながら文字を入力する → 画面で入力された文字を確認する → 文章がおかしくないかどうか再度考える → 以下繰り返し
しかし、タッチタイピングを習得すると、文書作成の手順は次のように変わる。
文章を考えながら文字を入力する → 画面に入力された文字を確認しながら次の文章を考える → 以下繰り返し
要するに、タッチタイピングができれば、思考とその具現化が直結するのだ。キーボードを見ながら入力するとそうはいかない。思考と具現化の間に、文字入力という面倒な作業が入るため、思考が中断されて非効率である。
こういった理由から、タッチタイピングがおぼつかず文字入力がたどたどしい方は、ぜひともブライントタッチを習得していただきたい。もし、すでに習得されている読者であれば、これ以降の話は役に立たないかもしれないので、気が向いたら読み進めてほしい。
タッチタイピングはキーの位置を覚えるのではない
筆者は、タッチタイピングを習得して20年以上経つ。初心者の方に「よくこれだけのキーの位置を覚えていますね」と言われることも少なくない。しかし、ある時そう言われて、キーボードのキーの配列はまったく覚えていないことに気が付いた。
でも、タッチタイピングはできている。なぜか? それは、「あ」を入力するための指の動き、「わ」を入力するための指の動きというように、文字ごとの指の動きを体(指)が感覚として覚えているからだ。これは「ボールを投げる」、「スキーで曲がる」、「バイクを運転する」のと同じように、"こうすればできる"という感覚に近い。
タッチタイピングとは、そういうものなのだと思う。だから、筆者はタッチタイピングを習得する過程で、キーがどこにあるかを見なければならないが、キーの配列を覚える必要はないと考えている。
では、どうすればタッチタイピングを習得できるのか? 次回、その具体的な方法を紹介することにしたい。