IT業界の人であれば、PHPというスクリプト言語の名前を聞いたことはあるだろう。「PHP=Web」いう印象が強いくらい、PHPはWebサーバでよく使われている。
W3Techsが公開しているServer-side Programming Languagesのシェアを見てもPHPは79.1%のシェアを持ち、この数年80%前後を推移している。つまり、世界のWebサーバの8割で使われている言語と言える。2位の「ASP.NET」言語とも大きな開きがある。
PHPがWeb開発によく利用される理由としては、以下があると思われる。
(1)短期間での開発に比較的向いている
Web開発の要件は短納期のものが多い。加えて、導入後にシステムの拡張が必要となるケースも少なくない。PHPはコードが短いので短期間で開発が可能であり、環境設定も簡単なことから、PHPはWeb開発に向いていると考えられる。
(2)多くの環境で稼働する
多くのデータベースとも接続可能であり、多くのWebサーバがPHPを使える環境を実装している。
(3)サーバの負担が少ない
CGIと比べるとという言い方になるが、サーバへの負担が軽く、実行スピードが速い。
(4)情報量が豊富
卵が先か鶏が先かという話にもなるが、日本語英語を問わずPHPの情報量は非常に多いので、経験が浅い人でも安心できる。
情報量の多さはその言語の人口の多さにも関連してくるが、PHPをかける人口が多い理由の1つに、学習しやすく、初心者におすすめのプログラミング言語であることが考えられる。実際、PHPの文法は読み書きしやすく、比較的自由な書き方ができるので、初心者が手を動かしながらプログラミングを学べる利点がある。
コードを書いてすぐに実行できると、学習のモチベーションが上がり、どこがいけなかったのかもすぐにわかる。それゆえに、初心者向けのプログラミングの書籍にPHP書籍が多いのだと思う。
このコラムを掲載いただいているマイナビニュースの読者には若手のプログラマーやこれからプログラマーを目指す人も多いと聞いているので、初学者向けの言語としてPHPを紹介した。
前述したように、PHPはWeb開発に強いのでWebエンジニアを目指す人であれば、PHPは外せない言語だと思う。また、キャリアを考えると複数の言語ができないとよい求人を得られないので、現在、別の言語を会得されている方でWeb開発に興味がある人はPHPも学ばれるとよいだろう。
そんなPHPだが、11月26日にメジャーバージョンアップしてPHP8がリリースされた。PHP 8.0.0になり、JITコンパイラ導入で高速化されたというのが特徴です(PHP8の詳細はこちらで確認いただきたい)。
12月12日に世界最大級のPHPのイベント「PHPカンファレンス2020」がオンラインで開催される。今回はPHP8関連のトークも多く、PHP8ライセンスマネージャーの登壇もある。「PHPカンファレンス2020」では毎年人気のPHP初心者向けのトークもあるので、PHPをよく知らない人でも、楽しめるはずだ。
「PHPカンファレンス2020」が日本のPHPコミュニティのすべてではもちろんないが、全国から登壇者を募集しており、いろいろな話が聞けるので、PHPのコミュニティの雰囲気や話題が見えると思う。
ちなみに、PHPのコミュニティは初めての人が一人で遊びに行っても楽しめる温かさがある。筆者も今から8年前に一人で遊びに行って、その場で知り合った人と気軽に話したり、PHPのことを知らなくても、わかりやすく説明してくれる講演を聴いたりと、とても楽しかったのを覚えている。興味がある方は公式サイトをご覧の上、参加されてはいかがだろうか。